掘削機械(読み)くっさくきかい(英語表記)excavator

翻訳|excavator

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

掘削機械
くっさくきかい
excavator

土工作業において土砂や岩石を掘削したり、掘削して積込みを行う機械の総称。機械の種類は非常に多いが、ショベル系掘削機、ブルドーザー、スクレーパー、トラクターショベル、連続掘削機などが代表的なものである。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

ショベル系掘削機

ショベル系掘削機は、現在使用される掘削機械のなかでもとくに長い歴史をもつ。1837年アメリカで蒸気機関を用いたパワーショベルが初めてつくられ、1881年パナマ運河開削工事に使用され、その威力が広く認められた。日本では1914年(大正3)に蒸気ショベルが輸入され、河川工事に使用されたのが最初である。ショベル系掘削機は、その後種々の研究改良がなされて現在の形のものに発展し、掘削積込み機械の主力をなしている。
 ショベル系掘削機を掘削方式別に分けると、爪(つめ)付きバケットにより上下に移動掘削するパワーショベルまたはドラグショベルdrag shovel(バックホウ)、鋼索でバケットを地面に沿って引き寄せながら掘削するドラグラインdragline、および開閉するバケットで土砂をつかみ取るクラムシェルclamshellに大別される。一般にショベル系掘削機は、機体本体をほとんど変更しないで、用途に応じて作業装置を交換して使用できる。掘削作業のほかに、フックやパイルドライバー(杭打ち用付属装置)を取り付けてクレーンや杭打ち機としても使用する。機械の規格は、土砂を削り取るバケットbucket(ディッパーdipperともいう)の容積で表示され、容量2~3立方メートル程度までのものが一般的であるが、海外の鉱山用機械ではバケット容量100立方メートルを超す超大型機もある。
 掘削装置の駆動方式は、ドラムとワイヤロープによる機械ロープ式と、油圧モーターや油圧シリンダーを使う油圧式とがある。ショベル系掘削機は従来ほとんど機械ロープ式であったが、近年、油圧機構の発達により油圧式が増加し、中小型ショベルのほとんどがこの機構になっている。原動機はディーゼル機関を使用するものが多いが、大型機では電動機も用いられている。また、下部走行体は履帯式(クローラー式)または車輪式(ホイール式)、トラック式が主で、ほかに軌条走行式や作業船に載せたものもある。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

ブルドーザー

掘削、押し土、整地など一連の土工作業を行うもので、作業距離が短い土工作業に適する。トラクターの前面に土工板(ブレード)を取り付けて掘削押し土、運搬を行うもので、足回り形式には履帯式と車輪式の2種がある。1915年アメリカで製作され、日本には第二次世界大戦後に導入され急速に普及したもので、建設機械のなかでもっとも生産台数が多く、種々の作業に使われている。
 トラクターに取り付ける付属装備品には、各種の土工板のほかに、スクレーパーの後押し用にプッシュドーザー、抜根や岩石掘起しにレーキドーザー、軟岩の破砕用に油圧リッパーなどが用いられ、ほかにクレーン、バックホウや林業・農業用、除雪用のものなど多くの種類がある。特殊用途のものでは、水中作業用の水中ブルドーザーも開発されている。
 トラクターおよびブルドーザーの大きさは普通その自重(トン)で表され、ミニドーザーまたはハンドドーザーとよばれる2~3トン以下の小型機から、重作業用の大型機では80トン以上のものまである。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

スクレーパー

土砂積込み機構をもち、1台で掘削、積込み、運搬、捨て土、敷きならしの作業を一貫して行う機械で、中長距離運搬を伴う土工作業に適する。走行形式により、トラクターで牽引(けんいん)して作業を行う被牽引式と、トラクターとスクレーパーとを一体に製作した自走式の2種類に大別される。高速で遠方に掘削土砂を運搬できるので一般に大規模土工に有効であり、宅地造成や空港・高速道路の建設などに使用される。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

トラクターショベル

トラクターの前面にバケット装置をもち掘削積込みを行うもので、バケットの昇降と排出を行う機構をもち、積込みを主として考える場合もっとも一般的な機械である。走行形式により履帯式と車輪式に大別される。履帯式トラクターショベルは、ブルドーザーから派生したものが多く、土工板のかわりに油圧操作によるバケットを装備したものである。ドーザー装置やバックホウなどの付属装備品の取付け可能なものが多く汎用(はんよう)性のある機械である。車輪式トラクターショベルは、農業用トラクターやフォークリフトから発達したものと、専用機として開発されたものとがある。前者は前輪または後輪のいずれか一方のみの駆動方式のものがほとんどで掘削力は小さく、一般に粗い土砂類など、ばら物の積込みに適する。専用機として開発されたものは、ほとんどが全輪駆動方式で、相当の掘削作業も可能である。車輪式は機動性に富み、短距離運搬の場合はダンプトラックなどを使用せず、トラクターショベル自体を運搬機として用いることもある。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

連続掘削機

バケットホイールエキスカベーターが代表的なもので、土木工事における大量の土砂掘削や露天掘炭鉱の採掘などに用いる。機械前部に取り付けた大型の回転ホイールの周りに複数のバケットをもち、これを回転させて土砂を連続的に掘削し、機内のコンベヤーによって後方へ運搬して後続のコンベヤーやトラックに積み込む。[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例