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在りし日の歌 ありしひのうた

世界大百科事典 第2版の解説

ありしひのうた【在りし日の歌】

中原中也の第2詩集。1938年(昭和13),創元社刊。1934‐37年の作品を中心に,58編を収録。表題の〈在りし日〉は〈生前〉の意ではなく,〈過ぎし日〉と同義である。処女詩集《山羊の歌》(1934)が,人間関係の不調和に由来するなまなましい挫折感,喪失感,悔恨,祈願を歌っているのに対し,この詩集は,〈過ぎし日〉に身を置いた詩人が,現実を仮象と観じ,小児のような姿勢で原初的な幻想世界を創造しているところに特色がある。

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デジタル大辞泉の解説

ありしひのうた【在りし日の歌】

中原中也の第2詩集。昭和12年(1937)、著者の死の直前に書き上げられた作品集。原稿は小林秀雄に託され、翌年刊行された。「在りし日の歌」「永訣の秋」の2部からなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

在りし日の歌
ありしひのうた

中原中也の第二詩集。1937年(昭和12)、鎌倉の寓居(ぐうきょ)で死の一月ほど前までに編集、浄書されて小林秀雄に託され、翌1938年4月、青山二郎の装丁で創元社から刊行された。
 標題紙裏に1936年11月に2歳で病没した長男への「亡き児文也の霊に捧ぐ」の献辞があり、作品は「在りし日の歌」「永訣(えいけつ)の秋」の2章に分かれ、それぞれ、「含羞(はじらい)――在りし日の歌――」以下42詩篇(しへん)、「ゆきてかへらぬ――京都――」以下16詩篇を収める。
 この詩集に底流する芸術的特質は、宮沢賢治の「心象」に連なるととらえた「現識」の言語化が、「[これが手だ]と[手]といふ[名辞]を口にする前に感じてゐる手、その手が深く感じられてゐればよい」と記して始まる名辞以前の世界への思念の表明「芸術論覚え書」の具体的実践として、「歌ふ」詩法のなかに希求されている点に認められる。[岡崎和夫]

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