地獄図(読み)じごくず

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地獄図
じごくず

死後,地獄において過酷な刑罰を受ける光景を描いたもの。地獄変地獄変相図ともいう。インドでは遺品は少いが,アジャンタ 17号窟に例がある。中央アジアではキジル,ベゼクリクなどの壁画に,敦煌では壁画や出土した『十王経図巻』などにみられる。中国では唐代に張孝師,陳静眼,盧稜伽の描いた『地獄変』があったといわれる。日本では平安時代に浄土信仰の盛行に伴って数多く作られ,仏名会には地獄変屏風が用いられた。巨勢広貴 (→巨勢派 ) は地獄図の名手であったといわれる。現存の代表的作例として『地獄草紙』,聖衆来迎寺蔵の『六道絵』,禅林寺蔵の『十界図』,北野天満宮蔵の『北野天神縁起絵巻』中の地獄図などがある。このほか平安時代末期~鎌倉時代に作られた経巻の見返し絵,絵巻などのなかに部分図として地獄での審判や刑罰の場面が描かれる例がある。また中世には地獄に落ちた人間を救い出す地蔵菩薩への信仰が盛んになり,地蔵霊験記が多く絵画化され,ここにも地獄図が描かれた。

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大辞林 第三版の解説

じごくず【地獄図】

この世で見聞きする、地獄のようにひどいありさま。地獄絵図。

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精選版 日本国語大辞典の解説

じごく‐ず ヂゴクヅ【地獄図】

〘名〙 地獄を思わせるような悲惨な様子、光景。
※原子力と文学(1954)〈小田切秀雄〉三「広島・長崎の地獄図」

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世界大百科事典内の地獄図の言及

【六道】より

…中央に大きく〈心〉の字を置き,そのまわりの円を10区に画して六道と四聖を描いたものである。六道絵でも十界図でももっとも大きなスペースを取るのは地獄図であり,地獄変相図の観を呈する。しかし,日本では死後の世界を六道とするところから,墓地を六道原というところがあり,京都東山の鳥辺野葬場の入口も六道の辻という。…

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