朝日日本歴史人物事典 「坂東彦三郎(4代)」の解説
坂東彦三郎(4代)
生年:寛政12(1800)
幕末明治期の歌舞伎役者。俳名薪水,のち楽善。屋号音羽屋。江戸市村座の帳元福地茂兵衛の子。文化9(1812)年市村座で市村竹三郎の名で初舞台,翌年亀三郎と改名。同13年,先代の養子となって彦三郎を襲名する。文政末年から名古屋,大坂,伊勢,備中宮内,尾道の芝居に出勤。天保6(1835)年江戸へ戻る。安政3(1856)年,養子の坂東竹三郎に彦三郎の名を譲り,自らは坂東亀蔵と改名。再び上方へのぼり,京都,大坂,伊勢,金刀毘羅,宮島などの芝居を勤めた。明治4(1871)年3月一世一代を勤めて引退。武道事,実事,所作事にすぐれ,また実悪,老役もよくした。彦三郎の名跡は,現代の8代目まで続いている。
(加藤敦子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報