漁業の定置網の一部を構成する網。道網、手網、掛出(かけだ)しなどともよばれる。魚は障害物があると、より深部へ移動する習性がある。この習性を利用して、魚群の遊泳通路を遮断して、身網(みあみ)に誘導する役割をもつ網である。海岸近くの浅い所から沖合に設置してある定置網の端口(はぐち)(身網の入口)まで、表層から海底まで全面に、テニスのネットのように垂直に張り立てられる。遠浅の漁場では、長さが1000メートルを超える垣網もある。身網よりも沖合を回遊する魚を身網へ誘導するための「沖垣網」を張り立てる漁場(日本海能登(のと)地方)もある。
垣網に用いられる網地は、従来は藁(わら)網(比重1.4)、綿糸(比重1.54)、マニラトワイン(比重1.45)などが用いられていたが、現在ではほとんど合成繊維が用いられる。主としてサラン(比重1.70)、クレハロン(比重1.70)、クレモナ(比重1.3)、ナイロン(比重1.14)、ハイゼックス(比重0.96)、パイレン(比重0.91)、さらにはシーキング(芯(しん)にサランを用いポリエチレンフィルムで被覆したもので、比重は1.45)などが用いられている。網目の大きさ(目合い)は、魚体周長よりも大きく、アジ、サバなどの比較的小形の魚を主要漁獲対象としている場合でも10~18センチメートル、ブリを対象にする場合は150センチメートルに及ぶ。したがって理論的には魚は垣網を自由に通り抜けることが可能である。網地の色彩は、黄色、濃橙色など魚の目につきやすく威嚇する色が多く用いられる。威嚇色を用いるのは、魚に垣網を障害物と認識させ身網に誘導するためである。
[添田秀男・吉原喜好]
…これは産卵・索餌のため回遊する魚群は,それぞれ,接岸の場所・時期がきまっているので,その習性を利用して網を建てるのである。その構造は,沖合にむけて垣網(かきあみ)をはり出して魚群の進路をたちきり,この網に当たった魚を沖合にむけ誘導し,垣網のさきに設けられた身網(みあみ)(囊網(ふくろあみ))へおとしいれるしくみになっている。錨や土俵で海中にがんじょうに固定設置され,2~3ヵ月から1ヵ年近くも建て込んだままおかれる。…
※「垣網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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