日本大百科全書(ニッポニカ) 「基準看護」の意味・わかりやすい解説
基準看護
きじゅんかんご
患者数に対して看護師数の比率を満たしている看護体制。1958年(昭和33)に健康保険法の改正により病棟種別に類別看護加算料の基準が定められ、入院患者数と看護要員数の比率に従って看護料が診療報酬点数として加算されるようになった。制定当初は当時の国立病院の実情を反映して、一般病棟の入院患者4人に看護要員1人、精神科病院では同様に5~6対1などであったが、その後1994年(平成6)の改正を経て2000年の診療報酬改定によって入院基本料に包括された。一般病棟、療養病棟など病棟の種別、医療機関の類型別に10種類が設定されている。一般病棟の算定基準については、入院患者に対する看護職員配置が2対1から4対1の5段階に応じて入院基本料が区分され、平均在院日数が28日以内であると加算される。看護職員の看護師比率は、入院基本料上位2階級では70%以上、他の3階級では40%以上を要件としている。2006年度の介護報酬・診療報酬改定では、従来の療養病床(医師の数と、患者数に対する職員比率が、医師3人、看護6対1、介護6対1)を医療保険適用の病床(同医師3人、看護5対1、介護5対1)と介護保険適用の病床(同医師3人、看護6対1、介護6対1)に分け、12年度には介護療養型医療施設を廃止して老人保健施設(同医師1人、看護・介護3対1、うち看護職員7分の2)とケアハウスなどや在宅療養支援に切り替えるとしている。これらの措置は、医療保険を適用する医療機関を、集中的に医療が必要な急性期の病床とその後医療の必要度の高い期間だけ受け入れる療養病床に限定し、医療の必要性の低い患者については病院ではなく居住系サービスや老人保健施設などで受け止めることで対応しようとするものである。
[平山宗宏]