堂平山(読み)どうだいらさん

日本歴史地名大系 「堂平山」の解説

堂平山
どうだいらさん

外秩父そとちちぶ山地の主脈から白石しろいし峠付近で東方に分岐する支脈上にあり、標高は八七六メートル。山頂東秩父村小川おがわ町・都幾川ときがわ村の境界となる。山頂は平坦で展望がよい。古く慈光寺の奥院があったので、山名が生じたとの伝承がある。頂上は地質学上堂平山クリッペと称される地質構造をもつ。これは上部に古生代秩父系赤色チャート層、その下に緑色長瀞ながとろ系御荷鉾式変成岩があるという構造で、秩父系と長瀞系の両者褶曲が生じた際に長瀞系結晶片岩の上に秩父系古成層がのったためであるとされている。堂平山クリッペの範囲は当山を中心に長径一八〇〇メートルほどで、ほぼ円形に近い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「堂平山」の意味・わかりやすい解説

堂平山
どうだいらやま

埼玉県中部、比企(ひき)郡小川町、ときがわ町、秩父(ちちぶ)郡東秩父村の境にある標高876メートルの山。山頂は比較的平坦(へいたん)なため、1962年(昭和37)東京天文台(現、国立天文台)堂平山観測所が開設された。91センチ反射鏡写真儀、彗星(すいせい)写真儀、自動流星写真儀、極望遠鏡など各種の観測機械が設置されたが、観測環境の悪化により2000年(平成12)3月閉所した(主な機器、施設は旧都幾川村に譲与され、彗星写真儀は国立科学博物館に引き取られた)。2005年ときがわ町星と緑の創造センターとして開所した。ときがわ町大野(おおの)の中カ(なか)および、秩父盆地との境界をなす白石峠(しろいしとうげ)から、自動車道が山頂まで通じている。ハイキングコースをなし、外秩父観光の中心である。

[中山正民]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の堂平山の言及

【東秩父[村]】より

…花卉栽培も行われる。北部は長瀞玉淀県立自然公園に指定され,南部の堂平(どうだいら)山(876m)には国立天文台堂平観測所がある。村立文化財収蔵庫には手すき和紙用具(重要民俗文化財)が展示されている。…

※「堂平山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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