堅信(読み)ケンシン(英語表記)confirmation

翻訳|confirmation

デジタル大辞泉 「堅信」の意味・読み・例文・類語

けん‐しん【堅信/堅振】

confirmationカトリック教会で、洗礼を受けた者が、さらに信仰を強め、霊の恵みを得るために、按手あんしゅと聖香油を受ける儀式。堅信の秘跡

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精選版 日本国語大辞典 「堅信」の意味・読み・例文・類語

けん‐しん【堅信】

〘名〙 (confirmation の訳語) 「けんしんしき(堅信式)」の略。
※大発見(1909)〈森鴎外〉「一八七二年に堅振(ケンシン)を受けた」

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改訂新版 世界大百科事典 「堅信」の意味・わかりやすい解説

堅信 (けんしん)
confirmation

キリスト教で,洗礼に続いて聖霊賜物によって強められることを表すサクラメント(秘跡)。キリスト者の洗礼は,水と霊によるもの(《ヨハネによる福音書》3:5)であるから,洗礼は同時に聖霊を受けたことを表すが,堅信は聖霊の賜物によってさらに力づけられ,キリスト者として成人し,あかしの使命を与えられるものとして洗礼と区別され(《使徒行伝》8:16~17),キリスト教への入信を完成させるサクラメントと考えられている。堅信式は,堅信の典礼であって,堅信礼とも呼ばれる。聖霊の賜物を受けたしるしとして,司教または司祭は受ける者の上に手を置き(按手礼),聖香油(クリスマ)を塗って十字架を印す。同時に,〈父の賜物である聖霊のしるしを受けなさい〉という言葉が唱えられて授けられる。その後,平和のあいさつが行われるが,これらはすでにヒッポリュトスの《使徒伝承》(215)に,洗礼に続く儀式として挙げられている。幼児洗礼を受けた者が成長して堅信を受ける場合,親と教会の信仰告白によって受けた洗礼を,〈使徒信条〉を信仰告白することで主体的に更新できるよう教話によってよく準備し,教会員としての自覚を新たにする機会となる。成人入信の場合は,洗礼式を補足するものとして続けて行うのが本来である。
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百科事典マイペディア 「堅信」の意味・わかりやすい解説

堅信【けんしん】

ラテン語confirmatioの訳語。カトリック教会のサクラメント(秘跡)。受洗した者に按手(あんしゅ)と聖香油とをもって聖霊とその恵みを豊かに受けさせ,全きキリスト信者とならせること。プロテスタント教会では洗礼を受けた者が,聖餐(せいさん)にあずかる資格を得るために受ける儀式で,教派によりその解釈や形式がかなり異なり,サクラメントとしては認められていない。正教会では〈傅膏機密(ふこうきみつ)〉と呼ぶ。

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世界大百科事典(旧版)内の堅信の言及

【サクラメント】より

…こうして秘跡の効果は,教会の奉仕者である秘跡執行者の倫理的状況いかんによるよりは,キリストによって成されたわざとしての秘跡自体の事効的効力opus operatumが重きをなすことになるのは当然である。ただ,秘跡執行者には教会の意図することを行う意向が必要であり,受領者には教会の秘跡を受けようとする意志が必要で,これに妨げを置かないことnon ponere obicemが前提とされること,また,洗礼,堅信,叙階の三秘跡は,受ける人の霊に消えることのない印章characterをしるすから生涯一度しか受けることができないことなどが,やがて神学者の間に共通に認められるところとなった。 教会が公会議で個々の秘跡の七つの数を信仰宣言の中に初めて取り上げたのは,東方正教会との合同の問題を扱った第2リヨン公会議(1274)においてである。…

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