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填補賠償 てんぽばいしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

填補賠償
てんぽばいしょう

債務の履行が債務の本旨に従って行われていたならば債権者が得たであろう利益 (履行利益) の賠償。履行 (給付) に代る損害賠償とも呼ばれる。履行不能の場合や追完不能な不完全履行の場合には填補賠償が与えられる。履行遅滞の場合は遅延賠償が原則であり,填補賠償は契約解除ののち与えられるが,一定の期間を定めての催告ののちなお履行がない場合は契約を解除することなく填補賠償を請求しうる。填補賠償ではどの時期を賠償額算定の基準とすべきかが困難な問題となる。しかし,損害額に変動がある場合でも,一律にそのうちの最高額 (中間最高価格) によってよいとするかつての判例の立場は今日では否定されている。これについては履行が不能となったとき,あるいは解除,催告が効力をもつときなど,事案により,諸般の事情を考慮して具体的に決めるべきであると考えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

填補賠償
てんぽばいしょう

債務が履行されたならば、債権者が得たであろう利益の全部の賠償をいう。たとえば、借家人が、時価3000万円の借家を、過失によって焼失したような場合に、損害賠償として3000万円を支払うのが、この賠償の適例である。履行不能の場合には、本来の履行にかわる填補賠償に限られる。給付が一部実現不能である場合において、給付が不可分であるか、可分ではあるが残部だけでは債権の目的を達することができない場合は、残部の受領を拒絶して、全部に該当する填補賠償を請求することができる。履行遅滞の場合には、遅延そのものによる損害の賠償(遅延賠償)である。ただ、一定の日時または一定の期間に履行されなければ契約の目的を達せられない定期行為(民法542条)の場合や、遅滞後の履行が、債権者にとって無意味であるという特別の事情がある場合には、例外的に、履行遅滞による填補賠償の請求が認められることとなる。[竹内俊雄]

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