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履行遅滞 りこうちたいLeistungsverzug

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

履行遅滞
りこうちたい
Leistungsverzug

債務が履行期にあり,履行が可能であるのに債務者の責めに帰すべき事由によって債務が履行されないこと。債務者遅滞ともいう。債務不履行の一態様。履行が可能なのに履行がない点で,履行不能,不完全履行と異なり,履行期を過ぎた場合に生じるが,期限の定めのない債務のように,常に履行期にある債務については,債権者から履行の請求を受けたときからのちにのみ履行遅滞の責任が生じる (民法 412条2項) 。履行遅滞は他の債務不履行と同様,債務者の故意,過失による違法な履行の遅滞の場合にのみ成立し,債務者の側で遅滞が不可抗力によることや,同時履行の抗弁権など,債務者が履行しないことを法律上正当とする事由のあることを立証すれば,履行遅滞は成立しない。履行遅滞の場合,債権者は債務者に履行遅滞によって生じた損害賠償 (遅延賠償) の請求ができるほか,債権の内容によっては裁判所に強制履行を命じてもらうことができる (414条) 。契約による債権については,債権者に契約の解除権も生じる (541条) 。なお,金銭債権の履行遅滞については特則があり,不可抗力の抗弁が認められない反面,遅延賠償の額も一定額とされている (419条) 。

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百科事典マイペディアの解説

履行遅滞【りこうちたい】

債務者が,債務を履行できるにもかかわらず履行期になっても履行しないこと。債務不履行の一種。確定期限付ならばその時から,不確定期限付ならば期限の到来を知った時から,期限の定めがないときは債権者が催告をした時から遅滞となる(民法412条)。
→関連項目金銭債権契約解除交互計算失権約款同時履行の抗弁権不完全履行

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大辞林 第三版の解説

りこうちたい【履行遅滞】

債務の履行時期に、それが可能であるのに債務者が債務を履行しないこと。債権者は賠償の請求などができる。債務者遅滞。 → 債務不履行

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

履行遅滞
りこうちたい

債務不履行の一態様で、債務者が履行期に債務の履行を怠ること。たとえば買い主が売買代金を定められた日時までに支払わないと、履行遅滞となる。履行遅滞により損害賠償義務(民法415条)と債権者に契約解除権(同法541条)が生ずる。金銭債務は、別に約定がなければ年5分(商行為によるものは年6分=商法514条)の利率による遅延損害金が生ずる(民法404条)。債権者が契約を解除するには、相当の期間(履行するのに必要な日数で足りる)を定めて催告し、その期間内に履行のないことが要件とされている(同法541条)。
 履行期に履行できなかったことについて、債務者に過失がないときは履行遅滞とならないが、金銭債務については、不可抗力であっても遅延損害金の支払義務が生ずる(民法419条2項)。また売買契約のような双務契約は、特約で一方が先に履行することが定められていない限り、双方が引換給付をするのが原則である。たとえば売り主の登記の移転・物の引渡しの義務と、買い主の代金支払義務は引換えで履行される。この場合には、相手方が引換給付に応じない限り、履行期を過ぎたからといって履行遅滞とはならない(民法533条の同時履行の抗弁権)。[伊藤高義]

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世界大百科事典内の履行遅滞の言及

【債務不履行】より

…債務不履行とは,債務者の責めに帰すべき事由によって正当な理由なく債務の本旨に従った(法律の規定,契約の趣旨,取引慣行,信義誠実の原則等に照らして適切な)履行がなされないことである。
[債務不履行の種類]
 債務不履行には,履行遅滞,履行不能,不完全履行の三つの態様がある。民法は,債務不履行の態様として〈債務ノ本旨ニ従ヒタル履行ヲ為ササルトキ〉と包括的に規定し(415条前段),別に履行不能を分けて規定している(同条後段)が,これは415条前段の一例として注意的に規定したものとみられている。…

※「履行遅滞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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