デジタル大辞泉
「増長天」の意味・読み・例文・類語
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ぞうじょう‐てんゾウヂャウ‥【増長天】
- ( [梵語] Virūḍhaka 毘留勒、毘流離、毗楼勒叉王の訳 ) 仏語。四天王の一つ。須彌山(しゅみせん)の南面半腹に住し、鳩槃荼(くはんだ)などの鬼神を領して南方を守護する。南方天ともいう。また、十六善神の一つにも数えられる。形像は、赤肉色で忿怒の姿をし、甲冑の上に天衣を着、右手に剣または矛を持つ。仏堂内では西南隅に安置される。増長天王。増長。〔壒嚢鈔(1445‐46)〕
増長天〈図像抄〉
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増長天
ぞうちょうてん
「ぞうじょうてん」とも読む。仏教の守護神。サンスクリット語ビルーダカ・デーバVirūdhaka-devaの訳で、毘留荼迦(びるだか)天、毘琉瑠(びるら)天、増長天王とも称する。須弥山(しゅみせん)の第四層に住して南方を守り、無量百千の鬼の主とされる。その形像に関しては一定しないが、普通、武将形で、赤肉色の身に甲冑(かっちゅう)と種々の天衣(てんね)を着け、右手に剣を持ち、左手を腰にあてた姿をして憤怒相(ふんぬそう)で表される。持国(じこく)天、広目(こうもく)天、多聞(たもん)天とともに四天王の一つに数えられる。
[江口正尊]
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増長天
ぞうちょうてん
Virūḍhaka
仏教の守護神。「ぞうじょうてん」ともいう。四天王,十六善神の一つで,まれには十二天のうちにも数えられる。サンスクリット語の音写で 毗楼勒叉天とも呼ばれ,古くからインドの護世神であったが,仏教に取入れられて,須弥山の南方を守護する神となり,南方天とも呼ばれた。須弥壇や,曼荼羅の南隅に配され,忿形の武人の姿で表現されている。持物は一定していないが,普通は右手に剣またはさくを持ち,左手を腰に当てている。十六善神の場合は,『大般若経』を守護する神の一人として金剛杵を持つことが多い。日本最古の像は法隆寺にある。
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増長天【ぞうちょうてん】
仏教守護の天部の神。四天王の一つ。須弥山(しゅみせん)中腹の南部に住み,南方世界を守護する。像は右手に刀を持ち,左拳(こぶし)を腰に当て甲冑(かっちゅう)を着ける。鳩槃荼(くはんだ)(馬頭人身の鬼)を眷属(けんぞく)とする。
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増長天 ぞうじょうてん
仏教の守護神。
四天王の一神で,南方世界を守護する。像は赤色の身に甲冑(かっちゅう)をつけた憤怒相の武将形。ふつう右手に剣や鉾(ほこ)をもった姿であらわされる。「ぞうちょうてん」ともよむ。
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世界大百科事典(旧版)内の増長天の言及
【四天王】より
…四大天王,四王,護世四王ともいう。東方に持国天(提頭頼吒(だいずらた)の訳),南方に増長天(毘楼勒叉(びるろくしや)),西方に広目天(毘楼博叉(びるばくしや)),北方に多聞天(毘沙門)が位置する。《増一阿含経(ぞういちあごんきよう)》や《阿育王経(あいくおうきよう)》には,四天王が釈尊のもとに現れて帰依したことや,釈尊の涅槃(ねはん)の後に仏法を守護することを釈尊から託されたことを記し,《金光明最勝王経》には,四天王が釈尊に対し本経を信奉する人々とその国家を守護することを誓ったことが説かれている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」