改訂新版 世界大百科事典 「外記日記」の意味・わかりやすい解説
外記日記 (げきにっき)
太政官の外記が朝儀,公事を記録した公日記。790年(延暦9)の追儺(ついな)に関する〈外記別日記〉や840年(承和7)の〈外記日記〉の存したことが正史に見え,平安時代初頭にはすでに別記を含む外記日記が筆録されていたことが確認される。朝廷はその後も外記日記の記録を督励し,文殿に納めて保管し,必要に応じて先例考勘の用に供した。1067年(治暦3)図書寮の紙工が多年にわたって外記日記を紙料に盗用したことが発覚し,その数は200巻にものぼったというから,それまでに書き継がれた日記が莫大な量に達していたことがわかる。しかし外記日記をはじめとする公日記の筆録がすたれる一方,諸家の私日記が盛行し,外記個人の私日記も盛んに記録されたので,外記日記はしだいに衰滅した。外記日記の遺文は,《西宮記》や各種の部類記にかなり多く収められているほか,《日本紀略》の後半部や《本朝世紀》の主要な編纂材料にもなっている。
→日記
執筆者:橋本 義彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報