仏教語の内財(ないざい)に対する語で,人間の身体の外の財産をさす。平安時代,内財は本来の,自分の身体の肉の意と異なり,〈内財雑物〉〈内財物〉のように,家宅の中の財物の意味で広く用いられている。一方,外財も,〈外材細工等の類〉〈道の細々外才の輩〉〈道々外才人〉〈供御人役は外才に付する課役なり〉などの用例が示すように,外材,外才とも書かれ,道々の細工などの手工業者から,傀儡(くぐつ)のような芸能民を含む〈職人〉にかかわる語として使用された。この場合も,身体の外の財産の意味が転じて,身体の外の働きをさすようになり,おのずと〈才〉〈材〉の字が並用されたのであろう。室町期,内財の語は消えていくが,外財もその意味を忘れ去られ,一部の意義を〈芸才〉に吸収される一方,江戸時代には外在,下財,下在,下細などの文字をあて,もっぱら鉱山の金掘り坑夫など,一部の職人をさす,賤視,卑下の意味をこめた語として用いられた。
執筆者:網野 善彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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