多地域進化説(読み)タチイキシンカセツ(その他表記)multiregional model

デジタル大辞泉 「多地域進化説」の意味・読み・例文・類語

たちいきしんか‐せつ【多地域進化説】

現代人起源に関する仮説一つ現生人類の直接の祖先は、100万年以上前に原人段階アフリカから世界各地に拡散し、各地域で独立性を保ちながら新人に進化したとする。→アフリカ単一起源説
[補説]ミトコンドリアDNAの系統分析により、現代人の共通の祖先は約20万年前にアフリカに生息していたと推定されることから、アフリカ単一起源説の方が有力視されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「多地域進化説」の意味・わかりやすい解説

多地域進化説 (たちいきしんかせつ)
multiregional model

新人ホモ・サピエンスの起源に関する三つの仮説のうちの一つで(もう二つは出アフリカ説と同化混血モデル),原人が100万年以上前にアフリカからユーラシに拡散し,各地で進化してホモ・サピエンスになったという旧来の説。すなわち,ヨーロッパではネアンデルタール人クロマニョン人へ,中国では北京原人山頂洞人や港川人などの新人へ,東南アジアではジャワ原人オーストラリア先住民へ進化したと考える。多地域進化モデルあるいは並行燭台モデルともいわれる。最近ではほとんど支持されない。

 多地域進化説の根拠となったのは,ヨーロッパ・中国・東南アジアにおける化石の形態特徴それぞれの地域ごとに違っていて,それらの特徴が原人から新人まで,それぞれの地域で連続して受け継がれたということだった。たとえば,ヨーロッパではネアンデルタール人の大きな鼻と引っ込んだ頬骨がクヨマニョン人に,そして現代ヨーロッパ人に受け継がれ,中国では北京原人の大きなショベル型切歯ダーリー人の平坦な顔が現代中国人に受け継がれ,東南アジアではジャワ原人の大きな眼窩上隆起と平らで傾いた額がオーストラリア先住民に受け継がれたという。しかし,慎重に研究してみると,それぞれの地域の原人と新人の特徴の類似性は,故意に似ているものだけを選んだにすぎず,表面的なものであることが判明した。たとえば,中国における地域的な特徴といわれたショベル型切歯はネアンデルタール人にも見られることがわかった。また,オーストラリア先住民の化石に見られる平らで傾斜した額は人工的な変形であることがわかった。
出アフリカ説 →ショベル型切歯
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最新 地学事典 「多地域進化説」の解説

たちいきしんかせつ
多地域進化説

multiregional model

人類進化に関する一学説。Homo sapiensは,アフリカ大陸・アジア大陸・ヨーロッパ大陸のそれぞれに生存していた,Homo erectusから直接的に進化したと考える学説。20世紀後半,アフリカ起源説(単一起源説)と激しい論争が繰り広げられた。

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