改訂新版 世界大百科事典 「夜間放射」の意味・わかりやすい解説
夜間放射 (やかんほうしゃ)
nocturnal radiation
地表はその温度に応じて赤外線を放射するとともに,大気中の気体や雲からの赤外放射を受けとり,その差だけ冷えこむ。この差を夜間放射あるいは有効地球放射という。地表からの放射は黒体放射とみなされ,シュテファン=ボルツマンの法則によって,地表面温度の4乗に比例する放射が地表から放出される。一方,大気中の水蒸気,二酸化炭素,雲なども赤外線を放出し,その大部分は地表に達するが,地表では差し引き熱を失う。日中も放射はあるが,日射のない夜間に明瞭になるので夜間放射という。水蒸気量が少なく,雲のないよく晴れた夜は,地表に達する赤外放射が少ないので,冷えこみがきびしく,霜害をもたらすことがある。
→大気放射
執筆者:朝倉 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報