精選版 日本国語大辞典 「霜」の意味・読み・例文・類語
しも【霜】
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冬の早朝などに地面や草の葉の表面に付着する氷の結晶。地物などの表面が放射冷却などによって冷え、その上に空気中の水蒸気が直接に昇華してできる。水蒸気がいったん地物に凝結して露になり、その露が冷えて凍結したものを凍露(とうろ)とよぶ。これは、露という水の状態をいったん通って氷になったもので、水蒸気が直接に昇華してできたものではないが、見分けがむずかしい場合にはこれも霜とよぶ。
霜が降るなどというが、霜は空中を降ってくるのではなく、目に見えない空気中の水蒸気が地物の上につくりだす氷である。霜は屋外の地物の表面だけではなく、積雪のすきまや、雪に覆われた小屋の内部などでもできる。このような霜を内部霜または雪中霜とよぶ。室内の空気中の水蒸気が冷えた窓ガラスに昇華したり、窓ガラスについた露が凍結したりしてできる霜(または凍露)を窓霜とよぶ。洗面所や便所などの窓によくできる。
[大田正次]
霜の形は雪の結晶と同じく六方晶系である。代表的なものには針状、羽毛状、樹枝状、板状、柱状、コップ状などがあるが、形のはっきりしない無定形のものが多い。同じ町や村の中でも、場所によって霜のできやすい所がある。夜間冷えた空気は、ちょうど谷間を水が流れるように低いほうへ流れる。このような場所では霜ができやすく、霜道(しもみち)とよばれる。また凹地ではちょうど水がたまるように冷えた空気がたまりやすい。これを霜穴(しもあな)という。
[大田正次]
初霜(はつしも)は秋から冬にかけてその年に初めて発生する霜で、初霜の日を「霜の初日」という。霜の初日は一般に内陸では早く、沿岸では遅い。平年値でみると、北海道では10月、関東地方では11月、九州地方では11月の後半である。終霜(しゅうそう)は春におこるその年の最後の霜で、一般に内陸では遅く、沿岸では早い。平年値でみると、北海道では5月、関東地方では3~4月、九州地方では3月である。初霜も終霜も年によってかなり平年値と異なる。たとえば東京では、初霜の平年値は11月27日であるが、もっとも早い年には10月21日であった。また終霜では平年値は3月20日であるが、もっとも遅い年では5月16日であった。なお春先の晩霜(おそじも)については「八十八夜の別れ霜(または忘れ霜)」という言い伝えがあり、立春を過ぎて88日目、すなわち5月2、3日ごろまでは晩霜のおそれがあるから注意することという、農作業上の目安となっている。
[大田正次]
霜ができやすい場所では農作物が被害を受けることがある。これを霜害(そうがい)または凍霜害という。被害の程度は農作物の種類やその発育期によっていろいろである。発育期についてみると生育開始期(春)あるいは成熟期(秋)におこる。春の霜害を晩霜害、秋の霜害を初霜害などという。霜害は一夜にして広い地域に災害をもたらすので、経済的にも大きい損失を与えることがある。たとえば、1964年(昭和39)4月28~30日に発生した、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、山梨、長野など各県の霜害では、被害面積は桑畑約2万ヘクタール、果樹園約1万5000ヘクタール、麦畑約1万ヘクタールなどとなっている。霜道や霜穴ではとくに霜害が激しいことはいうまでもない。これに対して霜害がおこらない地域もある。たとえば山の中腹、南向きの斜面、海や湖の近くなどはその例で、このような場所を無霜害地帯ともよんでいる。
霜害防止にはさまざまな対策がある。送風法や燻煙法(くんえんほう)などはその一例である。送風法は、大型の扇風機を高さ10メートルくらいのポール上に下向きに取り付け、果樹園などに多数配置する。最寄りの気象台から霜注意が出た場合には、夜半から早朝にかけて扇風機を動かし、ポール上付近の比較的暖かい空気を地面に向けて送り、地面付近の冷たい空気と混合させて、気温の低下を防ぐ仕組みである。
[大田正次]
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