大動脈およびその主要な分枝に生じる原因不明の血管炎で、炎症の結果、血管の
現在、患者さんの約9割は女性で、20~40歳にかけて発症のピークが認められます。世界中で日本が最も患者数が多いといわれていますが、インド、中国などのアジア諸国でもみられます。
特定疾患であり、医療費は公費負担助成の対象です。
原因は不明ですが、自己免疫機序(仕組み)が関係しているという説が有力です。遺伝はしません。
最初の急性期は、発熱、全身
まれに、
腕の動脈に狭窄があると、血圧に左右差が生じます。狭窄による血管雑音が
血液検査では炎症反応(CRP、赤沈)が陽性になります。X線検査では大動脈の拡大や石灰化が認められます。CT、MRIや血管造影検査では狭窄や閉塞などの病変部位や程度がわかり、本症の診断に最も有用です。心臓合併症の有無は、心エコーや心臓カテーテル検査により調べます。
急性期には炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬が用いられます。CRP、赤沈を指標とした炎症反応の強さと臨床症状に対応して投与量を加減しながら、継続的あるいは間欠的に投与します。場合によっては、免疫抑制薬が併用されます。慢性期には血栓予防のため、抗血小板薬や抗凝固薬を用います。
外科的治療は、特定の血管病変に起因することが明らかな症状があり、かつ内科的治療が困難と考えられる場合に考慮されます。頸動脈狭窄による
本症はある程度までは進みますが、通常、そのあとは極めて慢性の経過をとり、多くは長期の生存が可能です。しかし、脳への血流障害や心臓の合併症を生じた場合、あるいは高血圧が合併する場合は、厳重な管理が必要になります。また、血管炎が再燃することもあります。
池田 宇一
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また,大きな動脈瘤の場合には,拡張期にも雑音を聴取できることがある。閉塞性動脈硬化症や大動脈炎症候群(高安病)でも,血管に限局的な狭窄がある場合,その部位で収縮期雑音が聴取される。前者では,頸動脈,大腿動脈,腸骨動脈などが好発部位で,大動脈で聴取されることもある。…
…脈無病あるいは大動脈炎症候群ともいう。炎症のために動脈の狭窄や閉塞を起こす疾患。…
※「大動脈炎症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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