大学入学共通テスト(読み)だいがくにゅうがくきょうつうてすと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大学入学共通テスト」の意味・わかりやすい解説

大学入学共通テスト
だいがくにゅうがくきょうつうてすと

大学入学志願者を対象に全国一斉に実施する共通の試験。略称は共通テスト。教育再生実行会議内閣総理大臣の私的諮問機関)の提言を受け、2021年(令和3)に導入された。1979年(昭和54)に始まった大学共通第一次学力試験(共通一次試験)や、大学入試センター試験(1990~2020)の流れを引き継ぎ、マークシート方式の一次試験的性格の濃い入学試験である。実施主体は独立行政法人大学入試センターで、毎年1月中旬の2日間で実施される。試験科目国語、地理歴史、公民数学理科、外国語の6教科30科目で、そのなかから受験する大学が指定する科目を選択する。国公立大学の受験では5教科7科目が必要で、私立大学では3科目の場合が多い。2025年からプログラミングなどの「情報」が加わり、7教科31科目となる。受験生は約50万人、試験会場は全国600か所を超え、共通テストを合否判定に使う大学・短大は約860校に達する。多くの大学が大学入学共通テストと、独自に実施する二次試験の結果を組み合わせて合否を判定する。知識や技能に加えて、読解力や思考力を重視する試験が必要だとする教育再生実行会議の提言などを踏まえ、大学入試センター試験に比べ、図表グラフなど複数の資料を読み解く問題や長文の問題が増えた。また英語の配点は、リーディング筆記)が200点から100点に減る一方リスニングは50点から100点に増えた。ただ共通テストの目玉とされた、国語、数学への記述式問題の導入や、英語民間試験の活用は、採点の質や公平性を保てないなど制度への批判が多く、導入を断念した。なお通常、共通テストの実施は1回であるが、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行を受け、2021年と2022年には、学業に遅れが出た生徒や新型コロナウイルスの感染者向けに、第二日程や追試日程が組まれた。

[矢野 武 2022年6月22日]

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