大沼・小沼(読み)おおぬま・こぬま

日本歴史地名大系 「大沼・小沼」の解説

大沼・小沼
おおぬま・こぬま

現町域の北部、こまヶ岳西壁けんヶ峯(一一三一メートル)南麓にある湖。東側に大沼、大沼の南西に小沼が位置し、小沼の日暮ひぐれ(三〇三・四メートル)を挟んだ西側に蓴菜じゆんさい沼がある。一帯は大沼公園とよばれ、駒ヶ岳とともに大沼国定公園に指定されている。三湖とも駒ヶ岳の噴出物が折戸おりと川を堰止めて形成された。大沼は周囲二〇キロ、面積五・一二平方キロ、最大深度一三・六メートル、水面標高一三〇メートル。透明度三・五メートルの富栄養湖。駒ヶ岳の泥流堆積物が多数の島をつくり、小湾が形成されている。北から宿野辺しゆくのべ川、南からいくさ川・苅間かりま川などが流入し、北東に向かって折戸川が流出する。同川の流出口を銚子ちようし口といい、小沼とは狭戸せばつととよばれる地峡で画される。小沼は周囲一六・二五キロ、面積三・八平方キロ、最大深度五・五メートル、水面標高一三〇メートル。透明度二・九メートルの富栄養湖。大沼・小沼で大小合せて一〇〇以上の島がある。

当地一帯は近世から函館方面と鹿部しかべ(現鹿部町)もり(現森町)方面を結ぶ交通の要地であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大沼・小沼」の意味・わかりやすい解説

大沼・小沼
おのこの

群馬県中央部にある赤城山(あかぎ)の火口原湖・火口湖。大沼は火口原湖で、標高1320メートル、周囲約4キロメートル、最大水深16.5メートル。南東は覚満淵(かくまんぶち)の湿原に続き、西の火口瀬沼尾川は利根(とね)川に注ぐ。外輪山の黒檜(くろび)山(1828メートル)や中央火口丘の地蔵(じぞう)岳(1674メートル)に囲まれて風景がよく、周辺のシラカンバの林相もみごとである。前橋、東京に近いので、第二次世界大戦後観光地として急激に発達し、湖岸の大洞(だいどう)には旅館や各種保養施設が整っている。冬は全面結氷するので、昭和初期には天然氷を採取したが、いまはスケートとワカサギの穴釣りが有名。東岸の小鳥ヶ島には赤城神社と志賀直哉(しがなおや)文学碑がある。小沼は火口湖で、大沼の南々東にあって、大沼より150メートル高く、周囲約1キロメートル、南部に銚子伽藍(ちょうしがらん)という峡谷があり、粕(かす)川となって流出する。湖岸には土産(みやげ)店もない静けさで、県花レンゲツツジが美しい。冬は結氷し、スケート場となる。

[村木定雄]


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