伊勢神宮の古い祠官の一つで,数多くある物忌職の最も重要なもの。主として天照大神の大御饌(おおみけ)を奉仕する。神事をつかさどるのにふさわしい浄らかな身心であるためにこの名がある。鎮座の当時から,荒木田氏の童女がこれにあたった。中世以降は子良(こら)とも称し,馬瀬村下野村在住の権禰宜(ごんのねぎ)家である荒木田系の子女を時の大物忌父(おおものいみのちち)の養女として奉仕させた。大物忌父とは,大物忌をたすけてその職を勤め行わせる役で,他の物忌父を率いて皇大神にそなえる神饌の調理や大御饌祭に奉仕して,祝詞を奏上した。大物忌家としては岩井田,堤,桜,孫福,横地,原,坂の諸家が近世まで継続した。
執筆者:茂木 貞純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
もと伊勢(いせ)神宮に仕えた祀職(ししょく)の職名。物忌は、皇大神宮には大物忌、宮守(みやもり)、地祭(とこまつり)、酒作(さかとく)、清酒作(きよさけつくり)、瀧祭(たきまつり)、御塩焼(みさき)、土師器作(はじのうつわものつくり)、山向(やまげ)の九物忌、豊受(とようけ)大神宮には大物忌、御炊(みかしぎ)、御塩焼(みさき)、菅裁(すがだち)、根倉(ねくら)、高宮(たかのみや)の六物忌がいた。これらの物忌のなかで、大物忌は第一の重職で、天照大神(あまてらすおおみかみ)の朝夕の大御饌(おおみけ)(大神のお食事)の供進(きょうしん)をはじめ、正殿の御扉開閉、斎王参入のときの太玉串(ふとたまぐし)行事などに仕えた。物忌はいずれも未婚の童女で、これに介添えする者として、物忌父という男子が同人数置かれていた。『皇大神宮儀式帳』によると、大物忌の初めは、荒木田神主(あらきだかんぬし)の祖、天見通命(あめのみとおしのみこと)の孫、川姫命(かわひめのみこと)が鎮座した当初に仕えたという。以来、諸家が近世まで継続した。
[沼部春友]
…ここでまた吉日を選んで地鎮祭を営む。その後草刈り,穴掘りなどをしたうえ,大物忌(おおものいみ)という内人が忌柱を立て,その後に四方の柱が立てられる。民間では家屋建築に際して初めて立てる柱を大黒柱,大極柱あるいは立初柱(たてそめはしら)ともいう。…
※「大物忌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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