大黒島(読み)だいこくじま

日本歴史地名大系 「大黒島」の解説

大黒島
だいこくじま

床潭とこたん地区の南方四キロの厚岸湾入口に浮ぶ島。東西一キロ、南北二キロ。周囲六・一キロ、面積一・一平方キロの海食崖に囲まれた台地状の島で、最高点の標高約一〇五メートル。陸側に面して狭い砂地があるほかは、全島一〇〇メートルほどの断崖となっている。島の上部は台地状で、幅広い沢が一本、島を中央部で南北に二分しており、小川が東流して海岸で五メートルほどの滝となっている。西岸中央部にある船着場(通称第一港)と東岸中央部よりやや南にある通称第三港と、南西にある厚岸灯台とは小道で通じている。前近代にはモシリカホロモシリともいい、山川地理取調図には「ホロモシリ 和大黒島ト云」とある。天保郷帳には「東地嶋々之分」のうちに「アツケシ持場之内 大黒島」とあり、「納沙布日誌」には「大島ほろもしり」と記される(安政五年四月二〇日条)


大黒島
だいこくじま

絵鞆えとも岬の沖合七五〇メートル、室蘭港口にある島。手前に恵比須えびす島がある。周囲五〇〇メートル、高さ三五メートル。新第三紀火山性の岩礁からなる無人島で、約二〇〇〇年前の続縄文時代の土器石器が出土しており、大黒島遺跡とよばれる。山川地理取調図には「大コクシマ」と「ホンモシリ」(恵比須島)がみえ、これが日本名で大黒と恵比須の関係となった。「蝦夷迺天布利」寛政三年(一七九一)六月一〇日条に「このエドモの海に蛭児嶋、大(黒)嶋とてある、その大黒嶋に多かるよしのいたくせり」とある。「観国録」安政三年(一八五六)九月二三日条では白鳥はくちよう(室蘭湾の古名)について「大概ハ港口広サ一里許、其間ニ大黒・蛭子ト称スル二小嶼アリテ」と記される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「大黒島」の解説

大黒島〔北海道室蘭市〕

北海道室蘭市の絵鞆(えとも)岬の北方約2kmに位置する無人島。島名は、江戸時代近江商人島内大黒天を祀ったことにちなむ。

大黒島〔北海道厚岸町〕

北海道厚岸郡厚岸町沖の太平洋上にある島。かつてはタラやコンブ漁の番屋が置かれた。海鳥の繁殖地。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の大黒島の言及

【厚岸湾】より

…湖の西部に連なる牡蠣(かき)島は,天然のカキ殻などが堆積したもので,アッケシソウ,ウミミドリなどの塩性植物群落として天然記念物に指定されているが,地盤沈降や水質汚濁などのため湖岸部を除けば,ほとんど見られなくなった。湾口にある大黒島は周囲6km,最高点103mの段丘面が広がり,周囲は急崖で海鳥の繁殖地として天然記念物に指定されている。とくにコシロウミツバメの繁殖地としては,日本唯一のもので,北太平洋の南限繁殖地である。…

【尻羽岬】より

…海食崖下のごく狭い低地にコンブ漁家が点在する。東に天然記念物に指定された海鳥繁殖地,大黒(だいこく)島をのぞむ。先端部にはヒオウギアヤメの群落があり,6月下旬ごろに美しく開花する。…

※「大黒島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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