陰陽師が修する重要な祭りの一つ。六道冥官祭,天官地符祭とも呼び,曹は縦の2本棒を1本棒にした特異な画の字〈曺〉を用いる。11世紀ころからまつられ,安倍氏が鎌倉幕府の陰陽道を支配してよりこの祭法は盛んとなった。泰山府君を中心とし12座の神に金銀幣,素絹,鞍馬を供えてまつる。江戸時代は明正天皇より仁孝天皇まで歴代にわたり土御門(つちみかど)(安倍)家が一代一度の祭りを執行した。すなわち土御門邸内では鏡や衣の撫物(なでもの)を祭壇に安置し,長官,献者,謁者,執事,祭郎,具官が参加し,祭儀には加持,燻香,打磬のごとく仏教的要素がとりいれられ,拍手,奉幣,中臣祓など神道の形式も入り,法螺(ほら)を吹く修験道の作法も加わり,まさに諸宗教を合成した独特のものとなっている。
祈願の内容は天皇の無病息災,延命長寿を主とし,中国本来の山川をまつる封禅の儀からはかなり遠ざかったものとなった。
執筆者:村山 修一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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