天柱(読み)テンチュウ

精選版 日本国語大辞典 「天柱」の意味・読み・例文・類語

てん‐ちゅう【天柱】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 天が落ちてこないようにささえているという想像上の柱。また、世をささえる道義のたとえにいう。→地維(ちい)。〔書言字考節用集(1717)〕 〔史記‐三皇本紀〕
  2. [ 2 ] 星の名。
    1. [ 一 ] 紫微宮の中にある五星。ケフェウス座北極に近い所にある。〔星経‐巻上・天柱〕
    2. [ 二 ] 三台星の別称。〔周礼疏‐春官・大宗伯〕

てん‐じ‥ぢ【天柱】

  1. 〘 名詞 〙てんじゅ(転手)
    1. [初出の実例]「亭主謡へと三味線の天柱(テンヂ)に顔を筋かひ身」(出典浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)中)

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普及版 字通 「天柱」の読み・字形・画数・意味

【天柱】てんちゆう

天を支える柱。〔列子、湯問〕共工氏、(せんぎょく)と爲(た)ることを爭ひ、怒りて不の山に觸れ、天を折り、地維つ。故に天は西北に傾き、~地は東南に滿たず。

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改訂新版 世界大百科事典 「天柱」の意味・わかりやすい解説

天柱 (てんちゅう)
tiān zhù

中国の神話,伝説において,天は大地四方の果てにある柱によって支えられ,逆に大地は天に結ばれた4本の維(い)(太い綱)によってぶらさげられていると考えられた。《淮南子(えなんじ)》は,太古,共工が顓頊(せんぎよく)と帝になることを争って敗れると,腹を立てて不周山にぶつかり,天柱が折れ,地維が切れて,大地が東南に傾いた。その結果,大地の東南の部分が海となり,天下の川はすべてそこに注ぐのだという。また山岳が天柱だともされ,とくに崑崙山が世界の中央に位置して,天を支える柱となっており,天上地上地下の三つの世界がそこで結合しているとされる。《東方朔神異経》は,崑崙山の天柱は銅でできているとする。
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