太平山三吉神社(読み)たいへいさんさんきちじんじや

日本歴史地名大系 「太平山三吉神社」の解説

太平山三吉神社
たいへいさんさんきちじんじや

[現在地名]秋田市太平山谷字谷山

太平山山頂にある奥宮で、南麓広面赤沼ひろおもてあかぬまに里宮がある。現祭神は大己貴大神・少彦名大神・三吉霊神。旧県社。

太平山は古くから山神の鎮まる信仰の山であった。しかし「秋田郡村々神社調」(秋田県庁蔵)山上祠堂を薬師堂とする。「六郡三十三観音巡礼記」に、第二一番秋田郡太平元正寺は古名を四天王寺といい、堂中に慈覚大師作の阿弥陀・釈迦・薬師・観音を安置していたが、いつのまにか薬師如来は太平山頂に飛来して鎮座したという。この伝説は修験者による神仏習合を意味するもので、太平山神の信仰は広く県内の農村に浸透し、太平山講も各地に設けられた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「太平山三吉神社」の意味・わかりやすい解説

太平山三吉神社
たいへいざんみよしじんじゃ

秋田市太平山谷地内の太平山山頂に奥宮、市内赤沼に里宮が鎮座する。大己貴大神(おおなむちのおおかみ)、少彦名大神(すくなひこなのおおかみ)、三吉霊神(みよしおおかみ)を祀(まつ)る。社伝によれば、天武(てんむ)天皇の御代(みよ)に役小角(えんのおづぬ)によって創建され、801年(延暦20)坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が戦勝祈願のため堂宇を建立し再興したという。山岳信仰に由来する神社で、俗に三吉権現(ごんげん)とか三吉さんと称され、北海道から関東に及ぶ広い信仰圏をもつ。旧県社。1913年(大正2)赤沼の遙拝(ようはい)所を里宮とした。例祭は5月8日と10月17日。1月17日に行われる正月行事の梵天祭(ぼんてんまつり)は有名。

[高橋美由紀]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の太平山三吉神社の言及

【太平山】より

…山頂付近は灌木・草本帯で,標高900m以下はブナ林が卓越し,北側ではおもに秋田杉,南側ではミズナラが加わる。古来,山岳信仰の対象となり,山頂に太平山三吉(さんきち)神社がある。信仰圏は県内一円から北海道方面に及び,秋田市赤沼の里宮は1月17日の梵天祭でにぎわう。…

※「太平山三吉神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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