太平洋の島しょ国とオーストラリア、ニュージーランドで構成するオセアニア地域の協力機構。16カ国・2地域が加盟していたが、キリバスが今月「脱退」を表明した。年次総会で加盟国首脳らが気候変動対策や経済協力などの課題を議論する。日本はPIF諸国との関係強化を目的に、1997年から3年に1回、首脳らを日本に招く太平洋・島サミットを独自に開催している。(スバ共同)
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太平洋諸国の地域協力機構。略称PIF。太平洋諸国会議、太平洋フォーラムともいう。旧称は、南太平洋フォーラムSouth Pacific Forum(SPF。2000年10月に現在の名称に変更)。1971年にフィジーの初代首相カミセセ・マラRatu Sir Kamisese Mara(1920―2004)の提唱で創設された。太平洋諸国の意思を集約する機関として注目され、太平洋の「ミニ国連」、あるいは太平洋の「サミット」とよばれることもある。年1回行われる会議は、構成国が交替で開催国となる。現在加盟しているのは、フィジー、キリバス、ナウル、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、サモア(旧西サモア)、バヌアツ、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、オーストラリア、ニュージーランド、クック諸島、ニウエ、フランス領ポリネシア、ニューカレドニアの16か国・2地域。フィジーのスバに常設事務局が設けられており、構成国の経済発展を目的として、フォーラム海運機構、フォーラム漁業機構など常設専門機構を備えている。
当フォーラムは、これまで、島嶼(とうしょ)国の経済・産業発展に寄与するとともに、植民地の独立支援、南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)の制定(1985)、フランスの核実験反対など、政治的問題も積極的に取り上げてきた。
1990年代以来当フォーラムが直面している最大の問題は、アジア諸国との通商を拡大するために、いかにしてAPEC(エーペック)(アジア太平洋経済協力)が推進している共通規準を島嶼国に導入するかという点である。すでに、オーストラリア、ニュージーランド、パプア・ニューギニアはAPECに加入しているが、ほかの島嶼国は、小経済規模ゆえに加入可能性は少ない。このため、フォーラム事務局は、フォーラムとして一括加入の可能性を考慮している(オブザーバーとしては参加)。このためにも、通商、通信、税制などの規準をAPEC規準へと編成するという困難な課題に迫られている。さらに、当フォーラムには人口1万程度の極度な小規模国家が多数参加しているが、これらの国家の経済自立をいかに実現するかというきわめて困難な課題にも直面している。
環境問題もまた、フォーラムにとって大きな課題となりつつある。地球温暖化による海面上昇は、ツバル、キリバス、マーシャル諸島など海抜数メートルしかない環礁国家にとっては、国家そのものの存立の危機を感受させつつあり、当フォーラムでは、その会議の都度、緊急かつ深刻な問題として世界にアピールされている。
[高橋康昌]
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