太陽磁場(読み)たいようじば(英語表記)solar magnetic field

改訂新版 世界大百科事典 「太陽磁場」の意味・わかりやすい解説

太陽磁場 (たいようじば)
solar magnetic field

太陽磁場の歴史は1908年の黒点磁場の発見に始まる。その後,黒点以外の場所にも磁場があるのではないかという観測努力の結果,53年のマグネトグラフ始動によって磁場は太陽光球全面に広がっていることがわかった。現在では磁場ぬきに太陽面現象を説明することはできない。

彩層が明るく見える領域は100ガウス程度の磁場で覆われ,しかも黒点の場合と同じように正負の磁極領域が東西に接していて,黒点とまったく同じ極性の法則(ヘールの法則)で変化する。黒点のまったく見えない活動領域もあるので,黒点はたまたま活動領域中の異常に磁場の強い場所の現象と考えることができる。

活動領域以外は正負の1ガウス程度の磁場で覆われているが,極領域では黒点活動の下降期にそろった磁場が現れ,極性は黒点群の東側の黒点(後行黒点)と一致している。したがって極の磁場も11年ごとに逆転する。

プロミネンスには10~200ガウスの磁場があり,黒点上空のコロナには電波の偏波観測から1000ガウス程度の磁場が見いだされている。このように太陽大気のどこにも磁場が存在してそこの物理状態を支配している。そこで磁場の直接測定が容易でない現象についても電磁流体力学の理論から磁場の議論を行っている。すなわち,電離した大気で物質は磁力線にくっついて行動すると考えられるので,例えば磁場の卓越したコロナでは明るい流線やアーチはそのまま磁場の形を表している。

太陽活動を太陽磁場の消長として説明しようとする理論である。太陽自転の赤道加速微分回転)のために対流層内の磁力管は回転方向に引き伸ばされて磁場が強くなる。そしてだんだん表面に浮上してきて活動領域や黒点を形成する。表面に出た磁場は拡散して弱くなり,その間,次の周期の磁場が対流層で強くなり始める。磁場を強める赤道加速はつねに対流の作用で維持されていると考えられている。
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百科事典マイペディア 「太陽磁場」の意味・わかりやすい解説

太陽磁場【たいようじば】

太陽に存在する磁場。太陽の磁場は,1908年に黒点で発見されたのが最初。その後スペクトル線ゼーマン効果によって生じる偏光量から太陽磁場を求めるマグネトグラフが開発され,磁場は黒点だけでなく,太陽光球全面に広がっていることが明らかにされた。典型的な黒点の場合磁場の強さは3000ガウス程度,彩層が明るく見える領域で100ガウスほど,紅炎には10〜200ガウスの磁場がある。

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