失読症(読み)しつどくしょう

精選版 日本国語大辞典 「失読症」の意味・読み・例文・類語

しつどく‐しょう ‥シャウ【失読症】

〘名〙 視覚は正常であるのに、文字音符数字理解できない状態。脳動脈閉塞が原因で起こることが多く、その他脳膜出血脳炎が原因となる。〔人体機能(1952)〕

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デジタル大辞泉 「失読症」の意味・読み・例文・類語

しつどく‐しょう〔‐シヤウ〕【失読症】

視覚または発声器官に異常がないのに、文字を理解することができない、または読むことのできない病的状態。→ディスレクシア

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「失読症」の意味・わかりやすい解説

失読症
しつどくしょう

視覚が正常で発語にも支障がないのに、読字(書かれた文字や文章を読んで意味を理解すること)だけが障害された状態。読字不能あるいは視覚性失語症ともいう。書字は正常であることがほとんどであるが、音読の障害が多く認められる。一般に大脳の左角回(かくかい)が後天的に障害されると失読症を起こすとされている。失語性失読とよばれる、失語症の部分症状としての失読、あるいは左頭頂葉の書字言語中枢の破壊により読字と自発書字が障害される失読失書がみられることが多いが、純粋失読もまれにみられる。

 失語性失読では音読と読字・読解の障害を同時に伴うが、その一方だけの障害がとくに顕著な場合もある。また、かなと漢字の読みで障害に違いが認められる場合や、文字は理解できても文章は理解できない場合もある。これに対して、純粋失読は視覚失認性失読ともよばれるように、話したり聞いたり文字を書いたりすることはほとんど普通にできるが、読字だけが障害される視覚性失認が顕著に認められる。なお、読字が障害されて読み違いが生じることは錯読という。

[編集部]

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知恵蔵mini 「失読症」の解説

失読症

知覚・発声機能に異常がないにもかかわらず、書字言語(文字・単語・文章)の読み書きが困難となる病的状態のこと。難読症、ディスレクシア、DRDともいう。先天的な「発達性失読症」と、脳損傷やアルツハイマー病などで起こる「後天性失読症」がある。読む速度が非常に遅く不正確であることが最も目立つ症状で、長時間の読書ができない、筆跡が読めない、単語や行を飛ばしてしまうなど様々な症状がある。先天性の場合、2~8%の子供に障害がみられ、男児のほうが女児に比べ4倍ほど多く発症するという。先天性失読症の詳しい原因は解明されていないが、早い時期から治療を受けると障害が収まりやすく、治療を受けなくても次第に症状が軽くなっていく場合が多い。先天的失読症の人は直感的で創造的となりやすく、スティーヴン・スピルバーグ(映画監督)、トム・クルーズ(俳優)、パブロ・ピカソ(画家)など多数の著名人が失語症とされている。

(2015-1-27)

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世界大百科事典 第2版 「失読症」の意味・わかりやすい解説

しつどくしょう【失読症 alexia】

大脳の破壊によって起こる書字言語(書かれた文字,単語,文)の理解障害をいう。視力の障害はない。失読の検査は,単語を書いた文字を見せ,それに対応する物品を選ばせる,などによって行われる。失読はほとんどつねに音読障害を伴い,障害の程度も同等なことが多いが,一方が他方より良好な場合もある。たとえば,書字言語の理解は正常でも,誤って発音するなどであり,これを錯読paralexiaという。失読は失語症の部分症状として生じることが最も多く,これを失語性失読という。

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