視覚が正常で発語にも支障がないのに、読字(書かれた文字や文章を読んで意味を理解すること)だけが障害された状態。読字不能あるいは視覚性失語症ともいう。書字は正常であることがほとんどであるが、音読の障害が多く認められる。一般に大脳の左角回(かくかい)が後天的に障害されると失読症を起こすとされている。失語性失読とよばれる、失語症の部分症状としての失読、あるいは左頭頂葉の書字言語中枢の破壊により読字と自発書字が障害される失読失書がみられることが多いが、純粋失読もまれにみられる。
失語性失読では音読と読字・読解の障害を同時に伴うが、その一方だけの障害がとくに顕著な場合もある。また、かなと漢字の読みで障害に違いが認められる場合や、文字は理解できても文章は理解できない場合もある。これに対して、純粋失読は視覚失認性失読ともよばれるように、話したり聞いたり文字を書いたりすることはほとんど普通にできるが、読字だけが障害される視覚性失認が顕著に認められる。なお、読字が障害されて読み違いが生じることは錯読という。
[編集部]
大脳の破壊によって起こる書字言語(書かれた文字,単語,文)の理解障害をいう。視力の障害はない。失読の検査は,単語を書いた文字を見せ,それに対応する物品を選ばせる,などによって行われる。失読はほとんどつねに音読障害を伴い,障害の程度も同等なことが多いが,一方が他方より良好な場合もある。たとえば,書字言語の理解は正常でも,誤って発音するなどであり,これを錯読paralexiaという。失読は失語症の部分症状として生じることが最も多く,これを失語性失読という。また頻度は低いが,左頭頂葉の破壊によって起こる失読-失書(失読と失書のみが生じる症状)の部分症状として生じることもある。また,読むことだけが障害され,話す,書く,聞いて理解するなど,他の側面の言語能力が正常である場合を純粋失読といい,左後頭葉と脳梁後部の破壊によって生じる。
執筆者:杉下 守弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(2015-1-27)
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