奴可東条(読み)ぬかとうじよう

日本歴史地名大系 「奴可東条」の解説

奴可東条
ぬかとうじよう

旧奴可郡の東南部、現在の東城の町部を中心に川東かわひがし川西かわにし受原うけばらなどの地を含んだ荘園と思われるが、その正確な範囲は不詳。近世には、「芸藩通志」が粟田あわた請原うけばら川西・川東・福代ふくしろの五ヵ村を「東庄」とし、「国郡志下調書出帳」は「東城町・川西村川東村粟田村・請原村右五ケ村を東ノ庄と申由にも御座候得共聢と仕義無覚束存候」と記す。

建長二年(一二五〇)一一月日付の九条道家惣処分状(九条家文書)によれば、光明峯こうみようぶ(跡地は現京都市東山区)の寺領として山城国小塩おしお(現京都府乙訓郡大山崎町一帯)・播磨国千草ちくさ(現兵庫県宍粟郡千種町)とともに備後国奴可東条があげられ、東条については「本家尚侍殿、以年貢可充寺用不足」また「若有余残者、可済本所歟、但損亡之年、以寺用為先、於本所年貢者、可被免除之」とあり、本所としての領主権は九条道家から娘の四条院尚侍(藤原子)に譲るが、光明峯寺の寺領となっているので年貢は寺用の不足分に充当させ、もし残余があれば本所へ納めさせてもよい、しかし凶年には寺用を優先させ本所への年貢は免除せよとしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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