日本大百科全書(ニッポニカ) 「東城」の意味・わかりやすい解説
東城
とうじょう
広島県北東部、比婆郡(ひばぐん)にあった旧町名(東城町(ちょう))。現在は庄原市(しょうばらし)の東部を占める地域。鳥取、岡山両県に境を接する。中国脊梁(せきりょう)山地に位置し、高梁(たかはし)川の支流東城川の流域を占める。旧東城町は1898年(明治31)町制施行。1955年(昭和30)小奴可(おぬか)、八幡(やはた)、田森(たもり)、久代(くしろ)、帝釈(たいしゃく)の5村と合併。2005年(平成17)庄原市に合併。JR芸備(げいび)線、国道182号、314号、中国自動車道が通じ、東城インターチェンジがある。東城川などは古来砂鉄の産地として知られた。産業は農林業が主で、養鶏が盛ん、観光リンゴ園がある。そのほか、石灰岩の採掘も行われる。また、東城工業団地が造成されるなど、工業の振興にも努めている。旧町域南部を流れる帝釈川には国指定名勝帝釈峡があり、北部の道後(どうご)山などとともに比婆道後帝釈国定公園に指定されている。帝釈峡馬渡(まわたり)遺跡(県史跡)、寄倉(よせくら)岩陰遺跡(国史跡)などの遺跡群や、「比婆の荒神神楽(かぐら)」(国指定重要無形民俗文化財)、「大山(だいせん)供養田植」(国指定重要無形民俗文化財)などの芸能も多く伝えられている。
[北川建次]
『『東城町史』全7冊(1991~1999・東城町)』