ラブジョイ(読み)らぶじょい(その他表記)Arthur Onken Lovejoy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラブジョイ」の意味・わかりやすい解説

ラブジョイ
らぶじょい
Arthur Onken Lovejoy
(1873―1962)

アメリカの哲学者ベルリン生まれ。カリフォルニア大学ハーバード大学で学び、のちジョンズ・ホプキンズ大学教授となった。新実在論に反対し、プラグマティズムを批判して『二元論への反抗』(1930)を著した。認識論として二元論を採用しなければ、外界に関する知識が相対的であることを説明できないと考えたのである。やがて『思想史ジャーナル』の編集者となり、さまざまな思潮を比較勘案して彼独自の歴史哲学を構築する。たとえば『存在の偉大な鎖(くさり)』(1936)は、プラトンの『ティマイオス』に倣い、世界史に登場するすべての存在者の実現可能性を吟味して、文学史・科学史・哲学史の総合を試みた思想史である。アメリカ大学教授連合の設立に参画したのも故なしとしない。

[鵜木奎治郎 2015年10月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ラブジョイ」の意味・わかりやすい解説

ラブジョイ
Arthur Oncken Lovejoy
生没年:1873-1962

アメリカの哲学者。ベルリンに生まれ,アメリカに移住カリフォルニア大学,ハーバード大学,パリ大学に学び,1899年にはスタンフォード大学教授となって哲学科を創設した。1910年ジョンズ・ホプキンズ大学教授(38年まで)となり,専門にとらわれない思想史研究の場として〈思想史クラブ〉を創立,また40年には《思想史雑誌》を創刊して,学問の一分野としての〈思想史history of ideas〉の確立に大きな影響を与えた。それは,社会のなかでの諸観念の発展変化を,〈基本観念〉の展開を基軸に内在的に分析して思想の歴史を考察するもので,彼は,主著《存在の大いなる連鎖》(1936)や多くの論文でその方法を探究した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラブジョイ」の意味・わかりやすい解説

ラブジョイ
Lovejoy, Arthur Oncken

[生]1873.10.10. ベルリン
[没]1962. ボルティモア
アメリカの哲学者。カリフォルニア,ハーバード両大学に学び,ボルティモアのジョンズ・ホプキンズ大学教授となった (1910~38) 。認識論における業績のほかに,雑誌"Journal of History of Ideas"の編集者としても著名。主著『二元論への反乱』 The Revolt against Dualism (30) ,『諸観念の歴史について』 Essays on the History of Ideas (48) 。

ラブジョイ
Lovejoy, Elijah Parish

[生]1802.11.9. メーン,アルビオン
[没]1837.11.7. イリノイ,アルトン
アメリカの奴隷制廃止論者。神学研究ののち,1833~36年に長老教会派機関誌"St. Louis Observer"を編集,奴隷制反対論を展開。 36年イリノイ州アルトンに移り,"Alton Observer"紙を刊行したが,奴隷制賛成派に数回印刷所を襲われ,37年 11月7日夜暴徒に射殺された。

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百科事典マイペディア 「ラブジョイ」の意味・わかりやすい解説

ラブジョイ

ドイツ出身,米国のユダヤ系哲学者。ベルリン生れ。スタンフォード,ジョンズ・ホプキンズの各大学で教える。〈単位観念〉の生成と諸学にわたるその発現を分析する〈観念史History of Ideas〉を提唱,学際的思想史研究の有力な方法論として多くの賛同者を得,国際的に寄稿を募った《観念史事典》(1968年)となって実現した。主著《存在の大いなる連鎖》(1936年)。

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