神武(じんむ)天皇および崇神(すじん)天皇の敬称。『日本書紀』に、神武天皇は「始馭天下之天皇」、崇神天皇は「御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)」(『古事記』では「所知初国之御真木(はつくにしらししみまき)天皇」)と記され、文字は違うが読みは通じ、ともに「初めて国を治めた天皇」を意味する。建国の祖という神武の統治は大和(やまと)の範囲にとどまり、崇神は大和の四周を平定し、内治の充実に尽くしたと伝えられる。そこで崇神を実質的な建国者とみる立場から、本来、崇神の敬称であったこの称が、のちに、大和政権の起源を古くするために造作(ぞうさく)された神武にも及ぼされて同じ称呼になったのではないかとする説もある。
[星野良作]
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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…高天原(たかまがはら)より天津神(あまつかみ)の子として地上に降臨した瓊瓊杵(ににぎ)尊の曾孫とされる。神武という名は8世紀後半の命名による漢風諡号(しごう)で,記紀には,(1)若御毛沼(わかみけぬ)命,(2)神倭伊波礼毘古(かむやまといわれびこ)命,(3)始馭天下之天皇(はつくにしらししすめらみこと)ほか多くの名が記されている。(1)は穀霊的性格を示す幼名にあたり,(2)は神聖な大和の国のいわれ(由緒)を負うている男,(3)は初めて天下を治定した天皇の意である。…
※「始馭天下之天皇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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