日本大百科全書(ニッポニカ) 「子鹿物語」の意味・わかりやすい解説
子鹿物語
こじかものがたり
The Yearling
アメリカの女流作家ローリングズの長編小説。1938年刊。南北戦争後のフロリダで開拓生活を送るバクスター家のひとり息子ジョディが、偶然手に入れた子ジカとともに楽しい1年を送るが、やがて野性に戻ったシカは、農作物を荒らしたため射殺される。人間と動物の愛と悲劇を描いている。原名「イアリング」(一年子)が象徴するように、少年時代から大人へと移行する時期の子供が、鮮やかな自然環境の描写とともに、生き生きと描かれて感動をよぶ。ピュリッツァー賞を受賞し、第二次世界大戦後、映画化された。
[神宮輝夫]
『大久保康雄訳『子鹿物語』上中下(偕成社文庫)』▽『繁尾久訳『子鹿物語』上下(講談社文庫)』