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孔雀東南飛 くじゃくとうなんひKong-que dong-nan-fei

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

孔雀東南飛
くじゃくとうなんひ
Kong-que dong-nan-fei

中国,六朝時代の長編叙事詩。作者未詳。『玉台新詠』巻一に収められる。5言 353句から成り,中国古代詩中最も長い作品。『焦仲卿の妻のために作る』が題名であるが,冒頭第1句の『孔雀東南飛』の名で呼ばれることが多い。漢末の建安年間に,盧江 (安徽省) の小役人焦仲卿の妻劉蘭芝は姑のために実家へ帰され,実家では再婚を強制されたため投身自殺をとげ,それを聞いた焦仲卿も庭の木に首を吊って死んだという内容が,平易な言葉を用いた細かい描写と,いきいきとした対話のうちに叙述されている。一般性をもった家庭悲劇を扱ったものだけに,多くの続作,模倣作を生み,解放後も各種の劇に翻案,脚色されている。制作年代については古くから論争があって確定しがたいが,内容からみて,民間で語り物として流行しつつ,次第に文人の手によって現在の形にまとめられたと考えられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

くじゃくとうなんひ【孔雀東南飛 Kŏng què dōng nán fēi】

中国,魏・晋時代(220‐420)の作と考えられる楽府(がふ)体詩。郭茂倩(かくもせん)《楽府詩集》巻七十三に〈焦仲卿の妻〉の題で,徐陵《玉台新詠》巻一には〈古詩,焦仲卿の妻の為に作る〉の題で収められる。《孔雀東南飛》とも呼ばれるのは,この句で詩が始まるからである。この詩に付された序によれば,焦仲卿は後漢時代末の,廬江の役所の下級役人。その妻の劉氏がしゅうとめに嫌われ本家(おさと)に帰される。本家では劉氏を別の男に再婚させるが,その結婚式の日,劉氏は焦仲卿に操を立てて投身自殺をする。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

孔雀東南飛
くじゃくとうなんひ

中国、六朝(りくちょう)時代の長編叙事詩。『玉台新詠(ぎょくだいしんえい)』は「焦仲卿(しょうちゅうけい)の妻の為(ため)に作る」と題し、『楽府詩集(がふししゅう)』は「焦仲卿の妻」と題するが、夫婦の別れがたきをたとえて「孔雀東南に飛び、五里に一たび徘徊(はいかい)す」と説き起こされる第一句によって、「孔雀東南飛」とよばれることが多い。1700字を超える五言の詩。序文によれば、後漢(ごかん)末の建安年間(196~220)のできごとであるという。焦仲卿に嫁いだ劉蘭芝(りゅうらんし)は、新婚まもなく義母に排斥され、やむなく実家に帰ると、兄に再婚を強要される。生木を裂かれた夫婦は死を誓い、劉蘭芝は入水(じゅすい)し、焦仲卿は首をくくる。場面設定や登場人物の対話形式など劇的な構成に特色があり、六朝民歌の重要作品。[成瀬哲生]
『小尾郊一・岡村貞雄訳注『古楽府』(1980・東海大学出版会)』

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世界大百科事典内の孔雀東南飛の言及

【口承文芸】より

…《詩経》の305編の詩歌も口承文学の代表になるが,《詩経》については歌謡の項において述べることにする。 詩の分野での代表的な口承文学は,《玉台新詠》に載せられている〈古詩,焦仲卿の妻の為に作る〉(ひとつに初句をとって〈孔雀東南飛〉ともいう)と題される長編の叙事詩である。この作品は,お互いに愛しあいながらも嫁が義母にいためつけられて,ついに二人ともそれぞれに自殺するという題材を,五言353句(現行本では357句に作る)にうたいこんだ文芸で,時代を後漢の建安年間(196‐219)にとり,6世紀になって《玉台新詠》に文字として集録されるまで,広く民間各地にうたいつがれてきたものであった。…

【中国文学】より

…五言詩の代表的詩人曹植(曹丕の弟)は豊富な題材を熱情的にうたったが,真の主題は漢の〈賦〉と同じく,人間の運命への疑問であった。この800年間で最大の長編物語詩《孔雀(くじやく)東南飛》も建安年間の作といい,五言詩の成熟を示す。魏の阮籍(げんせき)は〈詠懐詩〉82首において,その疑問をさらにつきつめた形で提出し,いっそう思索的な孤独の詩人で独自の風格を有した。…

※「孔雀東南飛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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