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学校保健 ガッコウホケン

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デジタル大辞泉の解説

がっこう‐ほけん〔ガクカウ‐〕【学校保健】

学校の児童・生徒・学生および教職員の健康を保持・増進すること。昭和33年(1958)公布の学校保健安全法(旧称、学校保健法)に定められる。

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百科事典マイペディアの解説

学校保健【がっこうほけん】

児童・生徒の健康を保持増進し,健康生活を営む能力を養わせるため,学校で行っている種々の活動をいう。心身発育の途上にある多数の子どもが集団生活をしながら教育を受けているので,学校の環境をよくして学習能率の向上を図るとともに,健康観察健康診断によって疾病を早期に発見するよう努める。

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世界大百科事典 第2版の解説

がっこうほけん【学校保健】

学校で子どもの健康を保護し,同時に現在と将来において健康を獲得していく能力を育てるために営まれる諸活動の総称。これらの活動には,健康診断,環境衛生応急処置などといった主として子どもたちの健康の保持を目的とする健康管理活動と,保健指導保健学習といった健康についての認識や実践力を育てることを主要なねらいとする健康教育活動があり,その全活動を通して健康に生活していく能力の発達が図られる。 学校保健という語は第2次大戦後に使われ始めた言葉であるが,この種の活動は戦前からあり,学校衛生とよばれていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

学校保健
がっこうほけん
school health care

児童・生徒ならびに教職員の心身両面にわたる健康の保持増進を図るための、管理・指導・学習を包括する総称である。
 教育基本法第1条(教育の目的)に明記されているように、児童・生徒の心身の健康は、教育の基本的な到達目標として位置づけられている。したがって、学校保健は、学校教育の一環として法的にも明確に制度化されている教育活動であるといえる。同時に、児童・生徒の現在および将来における健康生活の確立に不可欠な教育作用である。[加室一臣]

日本における発展過程

1897年(明治30)に「学校清潔法」「学生生徒身体検査規定」、翌1898年に公立学校に学校医を置く「学校医令」が定められた。明治期はドイツの制度を模範として、学校医が中心となって、教育活動に伴う支障や障害を医学的・衛生学的観点から管理することにあった。この時代を「医学的学校衛生の時代」という。その後「制度的な空白時代(1903~15)」を経て、1916年(大正5)以降は、道府県に学校衛生技師を置くなど制度的拡大がみられた。大正期はイギリスの制度を範として、学校内診療施設、学校看護婦、学校給食などが普及したので「社会的学校衛生時代」という。
 1926年(大正15)からアメリカの健康教育が導入され、学校衛生における教育者の役割が重視されるようになった。この時代を「教育的学校衛生の時代」という。1937年(昭和12)から1945年(昭和20)までを「戦時下の学校衛生時代」といい、この間の1941年に国民学校令によって養護訓練の制度化がなされた。第二次世界大戦後、第一次アメリカ教育使節団報告によって、保健教育の振興、健康診断をはじめ保健管理の充実などが指摘された。その後、教科教育としての保健分野(科目)が新設されるなど、学校保健の制度的な改善が行われた。名称も戦前の「学校衛生」から「学校保健」へと改称された。1958年に「学校保健法」が制定され、保健管理面の制度は整備された。また、2009年(平成21)には「学校保健法」が「学校保健安全法」に改称され、養護教諭を中心とした組織的な保健指導の充実、地域医療機関等との連携、学校の環境衛生基準の法制化等が定められるとともに、学校安全についての事項が新たに規定された。[加室一臣]

学校保健組織と機能

学校保健組織は、学校の実態や学校経営方針などによって構成上の差異はあるが、おおむね校長、教頭、保健主任(保健主事)、養護教諭、教諭、学校医、学校歯科医、学校薬剤師などをもって構成する。これらの組織の活動が、より機能的な活動となるためには、学校教職員の共通理解と、協力的な相互関係が必要条件である。そして、そのなかにあって学校保健推進の中核が保健主任、養護教諭である。とくに養護教諭は保健室の経営を直接担当し、保健管理・指導の実務にあたる。[加室一臣]

学校保健の領域

従来の通念では、健康を保持増進するためのサービス活動health care, health serviceとしての保健管理と、健康生活を維持できる能力を育てる教育活動としての保健教育health educationとの2分野に大別している。これに対して、保健管理・保健学習(保健教授)・保健指導の3分野で構成する考え方がある。前者は学校保健を目的論的に構成したものであり、後者は領域機能論的に構成したものと考えられる。現在は、後者の領域機能論的学校保健が通念となっている。
 これを学校運営の視点からみると、次のように考えられる。保健管理は経営=管理過程(学校経営)、保健学習(教授)は学習過程(教科指導――小学校高学年では体育科、中学校では保健体育科の保健分野、高等学校では保健体育科の保健科目)、そして保健指導=生活形成過程(生活指導)とし、これらの位置づけは法的根拠や基準に基づいている。[加室一臣]
保健管理
この領域内容は主体管理、環境管理、生活管理であり、それらは主として学校保健安全法によって規定されている。制定当時(1958)の児童・生徒の罹患(りかん)率の高い疾病は、寄生虫感染、扁桃(へんとう)肥大、トラコーマ、伝染性の皮膚病など、環境衛生の不備による感染症であった。それが、環境衛生の改善、保健指導の徹底、生活水準の向上などによってしだいに減少してきた。
 しかし一方、生活環境の急激な変化に伴って、いままで児童・生徒にあまりみられなかった腎臓(じんぞう)病、心臓病、喘息(ぜんそく)などの、いわゆる慢性疾患が年々増加し、新しい学校病として問題を投げかけるようになった。現在では、腎炎、ネフローゼなどの腎臓病、先天性やリウマチ性の心臓病、気管支喘息が三大学校病とされている。とくに腎臓病は従来成人の病気として考えられていたが、それが三大学校病のトップを占めるに至った。
 このような実情から、1973年5月に学校保健法施行令、学校保健法施行規則が改正され、学校における健康診断に尿検査、心臓検診を加えることが義務づけられた。このことにより、学校保健における主体管理および生活管理面で、それらの早期発見、早期治療対策が促進されることになった。さらに1978年9月、学校保健法施行規則の一部が改正され、尿検査の最低ガイドラインが次のように示された。児童・生徒の健康診断の検査項目に、新たに「尿」検査を必須(ひっす)項目として加える。検尿は試験紙法によりタンパクなどについて行うこと。腎臓病発見のためには潜血検査をあわせ行うことが望ましい。検尿は毎年行うこととする。[加室一臣]
保健教育
この領域内容は保健学習と保健指導であり、それらは学校教育法施行規則に規定されていて、学習指導要領に基づく教科による保健学習(教授)と、特別活動による保健指導とに分けられる。[加室一臣]

各国の歴史と現状

イギリスでは、学校における健康教育は古い歴史をもち、文部当局から指導指針が出されている。しかし、その指針を生かした健康学習を実施する時間の位置づけや方法については、統一的見解をもつに至っていない。フランスでは、初等教育の全教科のなかで実施され、中等教育では、理科、社会科、公民科、体育科、家庭科などの関連教科に健康学習の内容が入れられていて、安全教育が必須化されているところに特徴がある。ロシアでは、健康教育に関心が深く、1953年学校保健に関する旧全ソ連邦会議以後は、体系的な保健・衛生学習が、自然科学教科や、さらに国語のなかでくふうされている。[加室一臣]

新しい学校保健活動

文部省は1988年(昭和63)に、体育局内に組織されていた学校保健課と学校給食課を合併して、新組織「学校健康教育課」を発足させた。従来から広義の学校保健として、体育・学校安全・学校給食などの領域から、児童・生徒の健康・安全に関する課題までを包括して活動してきたが、この中央行政機構の改変が学校保健のもつ総合性をますます高め、健康と教育の接点にある学校保健のいっそうの充実が図られたものと考えられる。なお、2001年(平成13)の省庁再編により文部省と科学技術庁が統合され文部科学省となったのに伴い、体育局はスポーツ・青少年局に改組され、学校健康教育課は同局の組織となった。[加室一臣]

スクールカウンセラー

1990年代以降、学校におけるいじめ、登校拒否(不登校)、集団不適応、学級崩壊、非行傾向、神経症傾向、学業不振、児童・生徒の家庭生活に関する問題など、児童・生徒にかかわる広範な問題が複合化、顕在化している。このような現実から、学校におけるカウンセリング(相談)の必要とその充実が叫ばれ、その専門職としてのカウンセラー(相談担当者)の配置が考えられるようになった。児童・生徒の「健康問題」を心と身体の両面からとらえるために、学校保健の領域でもカウンセリング機能を整備・充実させ、それを作用させる必要を一つの問題提起として、この項でも述べてみる。
 学校では、一般的に生徒指導部(または生活指導部)のなかに教育相談係として置かれているが、計画的、組織的に相談活動(カウンセリング)が行われ、その効果を高めている学校はそう多いとは思われない。だが、一方「保健室登校」ということばで表されるように、児童・生徒は教室ではなく保健室に登校して、一日の学校生活を終え、養護教諭がそれに対応している現実もある。また、児童・生徒の心の健康の増進、管理の中心的役割を担うスクールカウンセラーを専任として配置することは当然という要望がある反面、専門職の配置に反対の声があることも事実である。1校1人のカウンセラーにどれだけの効果が期待できるのか、それより教師全員がカウンセリング・マインドをもって、自校の児童・生徒との触れ合いや指導にかかわるほうがよりたいせつという意見が教師のなかに根強い。いずれにしても、学校がどのような機能をもてば、児童・生徒の「心の健康」を維持・増進させることができるかを模索し、早急にその整備を図り行動することが必要である。
 スクールカウンセラーの役割について、治療的カウンセリングと開発的カウンセリングのいずれを重視するかが絶えず論じられるが、日本では、さしあたって学級担任やほかの教師の手に負えない問題行動をもつ児童・生徒の治療がカウンセラーの役割として期待される。今後、日本の学校で開発的・予防的カウンセリングの必要性に対する理解や支持を得るために、これからのスクールカウンセラーの実践に基づいた、わが国独自の学校教育相談(スクールカウンセリング)の実学的な理論化が、学校のなかから生み出されてくることを期待したい。[加室一臣]
『小泉英二・高橋哲夫編著『学校教育相談の理論・実践事例集』(1986・第一法規出版) ▽国分康孝著『学校カウンセリングの基本問題』(1987・誠信書房) ▽高石昌弘著『学校保健概説』(1988・同文書院) ▽杉浦正輝・成田功編著、家田重晴・今井英夫・上延富久治・近藤卓・柴若光昭・田辺信太郎・野原忠博著『新しい学校保健』増補改訂版(1996・建帛社) ▽日本学校保健会編・刊『日本学校保健会八十年史』(2005) ▽衞藤義勝監修、田原卓浩編『成育の視点にたった学校保健マニュアル』(2005・診断と治療社) ▽松岡弘編著『学校保健概論』(2005・光生館) ▽衞藤隆・中原俊隆編『学校医・学校保健ハンドブック――必要な知識と視点のすべて』(2006・文光堂) ▽学校保健・安全実務研究会編『学校保健実務必携』新訂版(2006・第一法規出版) ▽瀧澤利行編著『基礎から学ぶ学校保健』(2008・建帛社) ▽高石昌弘・出井美智子著『学校保健マニュアル』改訂第7版(2008・南山堂) ▽内山源著『ヘルスプロモーション・学校保健――健康教育充実強化に向けて』(2009・家政教育社)』

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世界大百科事典内の学校保健の言及

【健康教育】より

… 学校における健康教育(保健教育)では,学校行事や学級活動において具体的な行動(活動)を通して行われる保健指導と,系統的・体系的な教授=学習を通して行われる教科の保健学習がおもにこれを担っている。しかし学校で行われるすべての活動が子どもの発達にかかわって組織されるものであるとするなら,健康教育をこれらに限定せず,従来保健教育とは区別されてきた健康管理のための諸活動をも含めて,学校保健の全活動を通して行われるものと理解すべきである。したがって学校ではこうした観点からの学校保健活動の組織化が必要とされる。…

【養護教諭】より

…第2次大戦後は47年に学校教育法によって養護教諭と規定され,今日に至っている。養護教諭のしごとは,子どもの健康相談,保健指導,応急処置をはじめ学校保健活動全般にわたるが,保健に関する専任職員として唯一の存在であることから,学校保健活動全体の計画と運営,そしてその実施において,実際に行動し,助言をし,相談にのるなど,実質的に中心的な役割を果たしている。学校保健【藤田 和也】。…

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