国指定史跡ガイド 「宇佐神宮境内」の解説
うさじんぐうけいだい【宇佐神宮境内】
大分県宇佐市南宇佐・正覚寺・日足にある神社。駅館(やっかん)川流域の東に位置し、境内地は宇佐平野の南東にそびえる御許山(おもとさん)地区と西北の山裾が平野に接する宇佐神宮地区からなっている。宇佐神宮は、宇佐八幡宮ともいい、全国に4万数千社ある八幡宮の総本宮。八幡大神(応神(おうじん)天皇・比売(ひめ)大神・神功(じんぐう)皇后を祭神とし、725年(神亀2)に現在地に創建されたという。豪族宇佐氏の磐座(いわくら)信仰をもととし、朝廷と結びついて神仏習合、八幡神の創出が行われたと考えられるが、天平年間(729~749年)に八幡神宮寺である弥勒寺が建立され、以後、急速に勢力を拡大した。宇佐宮の社殿は、「応永古図」や「江戸時代絵図」の配置と一致し、弥勒寺も塔・金堂・東門などの礎石が現存。大尾山は神護景雲年間(767~770年)に社殿が営まれたところで、御許山には延喜年間(901~922年)に正覚寺が建立された。宇佐宮南大門に続く宮迫(みやさこ)の地は、弥勒寺社僧の出た二十六坊の跡地で、坊の敷地や石垣などが残っている。宇佐宮・弥勒寺・大尾山・御許山・宮迫の遺跡が一体として現存していることは、神仏習合の進展と八幡信仰を考えるうえで貴重であることから、1986年(昭和61)に国の史跡に指定された。江戸時代に再建された本殿と弥勒寺に伝来する孔雀文馨(くじゃくもんけい)は国宝に、神像などが重要文化財に指定されている。JR日豊本線宇佐駅から大分交通バス「宇佐八幡」下車、徒歩すぐ。