大型で多目的の任務をもった宇宙船。実際に作られたり,構想が立てられているものは地球の周囲を回る大型の有人の人工衛星で,移動のための推進機関はもたず,一定の軌道上を運行し,地球から補給を受けながら乗組員がここに滞在して種々の業務を遂行するものである。宇宙ステーションそのものは宇宙開発が行われるはるか以前から考えられていたが,その構想は宇宙開発に伴って得られた知識とともに大きく変遷した。初期には人間の生活上重力が不可欠と考えられたので,回転によって生ずる遠心力を重力の代用とするため,ドーナツ形などの形状が構想されたが,現在では半年間くらいの生活ならば無重量状態でもよいとされているので,非回転式となっている。宇宙ステーションの規模や構造は,その役割によって異なるが,初期のものはアメリカのスカイラブやソ連(現ロシア)のサリュート宇宙船に代表されるように,数ヵ月から数年にわたる地球観測や天体観測の基地として,また,無重量状態における科学や医学の実験室として用いられた。これらは収容人員が2~4名程度で1~3ヵ月ごとに地球から補給を受けたり,乗組員の交代を行ったが,軌道高度は300~400kmと比較的低高度で,いずれも予定した任務期間後は放棄され,地上に落下した。本格的な宇宙ステーションはさらに大型のものとなり,収容人員は数十人にのぼり,観測基地や実験室としてだけでなく,さらに高度の高い所におかれる宇宙ステーションや月などの天体へ行く中継基地として,人員の訓練やロケットの整備補給の機能をもつものが考えられている。また,将来は宇宙発電所のような大型の宇宙建造物を作るための基地や,宇宙空間を利用しての加工工場なども宇宙ステーションの一つとみなされる。
執筆者:長友 信人
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宇宙環境を利用して研究や実験を行うための有人宇宙施設。かつて運用されていたアメリカの「スカイラブ」やソ連(現、ロシア連邦)の「サリュート」「ミール」などは国ごとに開発されていたが、2021年(令和3)時点では、アメリカ、ロシア、日本、カナダおよびESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)加盟の11か国の協力により開発・運用されている国際宇宙ステーション(ISS)がある。
[編集部 2021年8月20日]
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