有人、無人にかかわらず、宇宙機を飛ばすには、単にロケットを製作し、打ち上げるだけではなく、宇宙機への搭載物の製作、宇宙機の誘導制御、観測データの地上への送受信やデータ処理、また有人であればその無事な帰還や健康管理・訓練など、各種の問題に万全を期さなければならない。そこには非常に多くの分野の技術が関連しており、これら全体を対象とする工学を宇宙工学とよぶ。これはまた巨額の費用を要するとともに、地表上とは極端に異なった宇宙環境で、搭載機器には確実な作動が要求されることから、そのような信頼性や安全性を確保するためのシステム工学systems engineeringという分野を生み出し、原子力の平和利用と並んで巨大科学技術(ビッグ・サイエンス)とよばれるようになった。
[新羅一郎・久保園晃]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報