安定恐慌(読み)アンテイキョウコウ(英語表記)stabilization crisis

デジタル大辞泉 「安定恐慌」の意味・読み・例文・類語

あんてい‐きょうこう〔‐キヨウクワウ〕【安定恐慌】

インフレーションを収束させ、貨幣価値を安定させるための政策から生じる恐慌現象。特に、昭和24年(1949)のドッジラインによって起きた日本の恐慌。

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精選版 日本国語大辞典 「安定恐慌」の意味・読み・例文・類語

あんてい‐きょうこう‥キョウクヮウ【安定恐慌】

  1. 〘 名詞 〙 インフレーションを収束させ、通貨価値を安定させる際に生ずる恐慌。デフレ政策あるいは、為替相場の引き上げ政策がとられるため、通貨数量は収縮し、金詰まりになり、企業倒産失業者増大する。第一次大戦後ドイツドッジライン直後の日本にその例をみる。〔国民百科新語辞典(1934)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安定恐慌」の意味・わかりやすい解説

安定恐慌
あんていきょうこう
stabilization crisis

インフレーション収束過程で生じるデフレーション的経済現象。この場合は通常の景気循環の一過程としての好況局面へ続くものではないから,循環性恐慌とは区別される。インフレーションを抑えるため緊縮財政などきびしい政策がとられると,物価下落に加え,金融逼迫,企業倒産,失業の増大などの恐慌現象を引起す。第1次世界大戦後のドイツでその典型的な例がみられたが,日本でも類似の現象は第2次世界大戦後まもなく実施されたドッジ・ラインに基づく円価値安定期にみられた。このとき日本では,1949年から翌 50年上期へかけて日本銀行券発行残高が横ばいで推移し,消費者物価は下落し,失業者は増加した。もっともこれによって日本経済は戦後インフレーションから脱し,朝鮮戦争特需などと相まって戦後の経済復興を軌道に乗せることが可能となった。

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百科事典マイペディア 「安定恐慌」の意味・わかりやすい解説

安定恐慌【あんていきょうこう】

インフレを終わらせるため,政府赤字財政改め,金融を引き締めて貨幣価値を安定させる政策をとるときに起こる経済混乱。企業は金詰りとなり倒産,失業者がふえる。マルク貨安定を図った第1次大戦後のドイツ,ドッジ・ラインによるインフレ収束策後の日本がその例。

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