日本古代の律令制下で中央諸官庁や大宰府・諸国などに勤務した下級職員たち。律令官制においては,諸官庁は原則として,四等官(しとうかん)とよばれる主要な官僚たちと,この雑任の名で総括される下級職員たちとから構成された。雑任には,中央諸官庁の史生(ししよう),伴部(ともべ),使部(しぶ),官掌(かじよう)や省掌などの掌類,大舎人(おおとねり),東宮舎人,中宮舎人らの舎人や兵衛(ひようえ)などがあり,大宰府・諸国などの史生も雑任であった。また親王の公的従者である帳内(ちようない),五位以上の貴族官僚の公的従者である資人も,この雑任に準ずる下級職員であった。雑任には官位相当の規定がなく,令制では,毎年の勤務評定の成績を8年分総合して叙位されたが,706年(慶雲3)の格(きやく)によって,その総合される年数が2年分短縮されて,叙位される機会が早くなった。この格制の6年分総合の方式が,律令制下を通ずる基本的な雑任の叙位法になったのである。
→番上(ばんじょう)
執筆者:野村 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…官掌,省掌は史生(ししよう)の配下にあって訴人の行動や言辞を指導し,使部を監督し,官庁の建物や設備を管理・整備することを職掌とする。律令制の官職は,その職掌と勤務形態により,内長上(ないちようじよう),内分番(ないぶんばん),外長上(げちようじよう),外散位(げさんい)の4種に分けられるが,官掌,省掌は内分番の雑任(ぞうにん)の一つであって,交代出勤し,年間の出勤日数が140日以上あれば成績が審査され,8年間(のち6年間)の勤務成績が総合評価されて,位階が昇叙される。のち,弾正台,春宮坊,皇后宮職,左右京職,大膳職,主計寮,主税寮にも掌が置かれ,それぞれ台掌,坊掌,職掌,寮掌と称された。…
…分番ともよばれ,長上(ちようじよう)と対置されるが,順番をつくって交替で勤務するのがたてまえである。諸官庁の構成のなかで,雑任(ぞうにん)クラスの下級職員は,いずれも番上である。すなわち,中央諸官庁,大宰府,諸国などの史生,中央の伴部,使部,官掌・省掌などの掌類,大舎人・東宮舎人・中宮舎人らの舎人(とねり),兵衛,および親王の公的従者である帳内(ちようない),貴族官僚の公的従者である資人などは,いずれも番上であり,また大宰府や諸国府に勤務した下級職員たちも番上であった。…
※「雑任」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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