宮下太吉(読み)ミヤシタ タキチ

20世紀日本人名事典 「宮下太吉」の解説

宮下 太吉
ミヤシタ タキチ

明治期の無政府主義者 大逆事件首謀者



生年
明治8年9月30日(1875年)

没年
明治44(1911)年1月24日

出生地
山梨県甲府市若松町

学歴〔年〕
小学校卒

経歴
機械職工として各地工場を転々とし、明治40年頃より「平民新聞」を読み、社会主義思想に接近して、天皇制に疑問を抱く。そのため天皇爆弾を投げつけ、天皇も生きた神ではなく人間であることを証明しようとし、爆弾試作を続けた。42年上京して幸徳秋水にその旨を告げ、長野県明科で試作に成功した。43年に爆弾試作が発見され、大逆事件に発展。44年主犯として死刑となった。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「宮下太吉」の意味・わかりやすい解説

宮下太吉 (みやしたたきち)
生没年:1875-1911(明治8-44)

明治期の無政府主義者。甲府市に生まれ,小学校卒業後,機械職工として各地の工場で働く。愛知県の亀崎鉄工所時代の1907年ごろ,日刊《平民新聞》を読んで社会主義思想に傾倒し,森近運平,幸徳秋水を訪ね,その影響を受けた。08年ごろ天皇の暗殺を考え,翌年長野県明科製材所の機械工をしつつ独力で爆弾試作をした。新村忠雄管野スガらとテロを計画したが,10年5月発覚して逮捕され,大逆事件端緒となり,11年に死刑。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「宮下太吉」の解説

宮下太吉

没年:明治44.1.24(1911)
生年:明治8.9.30(1875)
大逆事件の事実上の首謀者。山梨県甲府市若松町に生まれる。父は幸吉。郷里の小学校を卒業後,機械職工となった。愛知県の亀崎鉄工場に勤務した折,日刊『平民新聞』を読み,社会主義思想の影響を受けた。明治41(1908)年の赤旗事件後,秘密出版された内山愚童の『入獄紀念・無政府共産』を読み,天皇否定の思想を固め,民衆の天皇に対する迷信を打破する必要を感じる。42年長野県の明科製材所に転勤,爆弾による明治天皇暗殺を企て,試爆に成功,新村忠雄,管野すが,古河力作と共謀中,43年5月警官により発覚逮捕された。この事件を核として幸徳秋水を首謀者とする大逆事件がフレームアップされた。<参考文献>塩田庄兵衛・渡辺順三編『秘録大逆事件』,神崎清『大逆事件』

(山泉進)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「宮下太吉」の解説

宮下太吉
みやしたたきち

1875.9.30~1911.1.24

明治期の初期社会主義者。山梨県出身。小学校卒業後機械工となり,各地の工場を移動中に「平民新聞」に接する。各種の社会主義書籍を読み,民衆の天皇崇拝の迷信打破を目的に天皇襲撃を企図。1909年(明治42)2月幸徳秋水・森近運平を訪ねて決意を告げ,新村(にいむら)忠雄・管野スガの協力も得て爆裂弾を試作。10年5月未遂のまま逮捕され,大逆事件の端緒となり,11年に処刑。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮下太吉」の解説

宮下太吉 みやした-たきち

1875-1911 明治時代の無政府主義者。
明治8年9月30日生まれ。日刊「平民新聞」をよみ,幸徳秋水らにちかづく。各地で機械工としてはたらき,明治42年長野県明科(あかしな)製材所にうつる。天皇暗殺のため爆裂弾を試作,43年逮捕されて大逆事件のきっかけをつくった。明治44年1月24日刑死。37歳。山梨県出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「宮下太吉」の解説

宮下 太吉 (みやした たきち)

生年月日:1875年9月30日
明治時代の無政府主義者;機械工
1911年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宮下太吉の言及

【大逆事件】より

…明治天皇暗殺を計画したとの容疑で多数の社会主義者,無政府主義者が逮捕・処刑された事件。事件は,1910年5月宮下太吉ら4人が爆発物取締罰則違反で検挙されたのがきっかけで,その後,検挙者は全国各地で数百名にものぼった。うち26名が刑法73条の大逆罪にあたるものとして起訴された。…

※「宮下太吉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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