家なき子(読み)イエナキコ(その他表記)Sans famille

デジタル大辞泉 「家なき子」の意味・読み・例文・類語

いえなきこ〔いへなきこ〕【家なき子】

原題、〈フランスSans familleマロ児童文学作品。1878年刊。孤児の少年レミが、旅芸人老人に引き取られ、さまざまな旅と人との出会いを通じて成長していく過程を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「家なき子」の意味・わかりやすい解説

家なき子
いえなきこ
Sans famille

フランスの作家エクトル・マロの児童文学作品。1878年刊。イギリス名門に生まれながら盗まれて捨てられた少年レミは、ビタリスという旅芸人とともにフランス各地を旅して歩く。ビタリス老人の死後、花つくりの一家に助けられて暮らすが、その家の没落のためふたたび旅に出、炭坑町の事故で九死に一生を得る。やがて実の親は、レミが旅の途中しばらくいっしょに暮らした遊覧船「白鳥号」のミリガン夫人とわかり、幸福な日々を送ることになる。フランスの地理・風俗を紹介する意図を含んで書かれたもので、旅を通じての少年の成長の過程のなかに当時のフランスが描かれている。日本では1901年(明治34)『まだ見ぬ親』(五来素川(ごらいそせん)訳)の題名で初めて訳されて以来、衰えぬ人気を保っている。

神宮輝夫

『鈴木三重吉訳『家なき子』上下(角川文庫)』

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百科事典マイペディア 「家なき子」の意味・わかりやすい解説

家なき子【いえなきこ】

H.マロの少年小説。1878年刊。捨子の少年レミが旅芸人となってさまざまな地方を巡り,困難にあいながら生みの母をさがす物語。原題は《Sans famille(家族がなくて)》。姉妹編に《家なき娘》(原題《En famille(家庭にて)》)がある。

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デジタル大辞泉プラス 「家なき子」の解説

家なき子〔ドラマ〕

日本のテレビドラマ放映は日本テレビ系列(1994年4月~7月)。全12回。脚本:高月真哉ほか。音楽:千住明。主題歌中島みゆき。出演:安達祐実、小柳ルミ子、保阪尚希ほか。過酷な環境で生きぬく貧しい少女の姿を描く。劇中のセリフ「同情するなら金をくれ」が同年の流行語大賞を受賞。同年劇場版が公開されたほか、1995年には続編も放映された。

家なき子〔アニメ〕

日本のテレビアニメ。放映は日本テレビ系列(1977年10月~1978年10月)。原作:エクトール・アンリ・マロによる小説、制作:東京ムービー新社(現:トムス・エンタテインメント)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家なき子」の意味・わかりやすい解説

家なき子
いえなきこ
Sans Famille

フランスの作家エクトール・マロの小説。 1878年刊。孤児レミが大道芸人の老人ビタリスに売られ,苦難の末母親に再会するまでを語る。児童文学の傑作として今日なお世界中で親しまれている。

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世界大百科事典(旧版)内の家なき子の言及

【マロ】より

…その間マロは《オピニヨン・ナシヨナル》紙に文芸批評も書くようになった。しかしマロの名を高めたのは児童向きの作品《ロマン・カルブリスの身に起こったこと》(1869),《家なき子Sans famille》(1878),《家庭にてEn famille》(1893。邦訳名《家なき娘》)の3作である。…

※「家なき子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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