寒念仏(読み)カンネブツ

デジタル大辞泉 「寒念仏」の意味・読み・例文・類語

かん‐ねぶつ【寒念仏】

僧が寒の30日間、明け方山野に出て声高く念仏を唱えること。のちには俗人寒夜かねを打ちたたいて念仏を唱え、家々の門前報謝を請い歩いた。かんねんぶつ。 冬》
「―鬼で目をつく切り回向」〈柳多留・初〉

かん‐ねんぶつ【寒念仏】

かんねぶつ(寒念仏)

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精選版 日本国語大辞典 「寒念仏」の意味・読み・例文・類語

かん‐ねぶつ【寒念仏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かんねんぶつ(寒念仏)」の変化した語 )
  2. 寒中三〇日の間、明け方に山野に出て、声高く念仏を唱える修行。多く僧の間で行なわれたが、後には、俗人の間でも寒夜に鉦(かね)をうち、和讚や念仏を唱えて仏寺に詣でたり、念仏を唱えながら巡行して、家々に報謝を請い歩くことにもなった。《 季語・冬 》 〔俳諧・増山の井(1663)〕
    1. [初出の実例]「まつとかや其の暁の寒念仏〈言水〉」(出典:俳諧・軒端の独活(1680)乾)
  3. ( 形動 ) (転じて)物貰いのように金品を乞い歩くこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「壱文なしにつかひやして、かへりはみじめ寒念仏(カンネブツ)道中」(出典滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)一〇)

かん‐ねんぶつ【寒念仏】

  1. 〘 名詞 〙かんねぶつ(寒念仏)《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「十二月〈略〉寒垢離 寒念仏(カンネンフツ)」(出典:俳諧・をだまき綱目(1697)上)

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「寒念仏」の解説

寒念仏
〔富本〕
かんねんぶつ

歌舞伎浄瑠璃外題
初演
天明7.11(江戸桐座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の寒念仏の言及

【寒行】より

…一年中で最も寒い時期の修行であるために,厳しい苦行となるが,その苦行が多くの功徳(くどく)をもたらすという信仰が背景にある。一般に寒行には僧侶を中心とした寺堂や道場での座禅・誦経・念仏・題目のほか,鉦を叩きながら民家の軒先や社寺を巡って念仏や和讃を唱える〈寒念仏〉,鈴を振りながら裸足で薄着して社寺に参詣し祈願する〈寒参り〉,冷水を浴びて神仏に祈願する〈寒垢離(かんごり)〉などの所作がある。〈寒念仏〉について,文化年間(1804‐18)に編まれた《会津風俗帳》には〈堂社修繕建立のため,出家又は信心の男女四五人連にて和讃念仏を唱へ,村々相廻り,米少々つゝ出す〉と托鉢の状況を記し,同時期の《歳時謾録》には六斎念仏の行者が城下や無常所を夜行したと記し,《続飛鳥川》には白木綿の単物と頭巻を着し,鈴を振って歩行し,絵札をまく願人坊主の姿を記している。…

※「寒念仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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