尚可喜(読み)しょうかき(英語表記)Shang Ke-xi; Shang K`o-hsi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尚可喜」の意味・わかりやすい解説

尚可喜
しょうかき
Shang Ke-xi; Shang K`o-hsi

[生]万暦32(1604)
[没]康煕15(1676).10. 広州
中国,明末清初の武将。諡は敬。遼東の海州の人。明の広鹿島の副将だったが,天聡7 (1633) 年に清の太宗に帰順し,その軍は天助兵と称され,のち 鑲藍旗漢軍に所属した。清では総兵官として活躍し,崇徳1 (36) 年に智順王に封じられて朝鮮の征討などに参加し,清朝が中国本土に進出すると各地を転戦し,平定に功を立てた。同6年には平南王となり,次いで広東を平定して同 13年に広州に駐留した。耿継茂福建移駐すると広東に駐留して勢威をふるい,三藩の一つとなった。康煕 12 (73) 年に引退を願ったが,撤藩 (半独立的な藩国の廃止) を命じられ,このことから三藩の乱が起った。可喜は反乱にくみせず,清朝に忠節を誓い反乱軍と戦って,同 14年には平南親王に封じられた。しかし,その長子の尚之信が反乱に参加したため,これを怒って同 15年2月に自殺しようとして果さず,10月に病没した。康煕帝はその忠節を賞し,その子尚之孝の手で故郷の海州に手厚く葬らせた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尚可喜」の意味・わかりやすい解説

尚可喜
しょうかき
(1604―1676)

中国、明(みん)末清(しん)初の武将。遼東(りょうとう)海州(遼寧省海城県)の人。諡(おくりな)は敬。遼東で満州軍と戦っていたが、上官との反目により1634年満州側に投じた。明軍との戦闘に功があり、36年に智順王に封ぜられ、42年には漢軍鑲藍(じょうらん)旗に編入された。44年清の入関後は、李自成(りじせい)軍や湖南残明勢力の追討に参加、49年平南王に改封されて耿仲明(こうちゅうめい)とともに広東(カントン)の南明(なんみん)軍討伐に向かい、永明王を西走させて広東全省を平定し、60年耿継茂(けいも)の福建移鎮後は広州を藩府として単独で広東省を支配した。73年遼東への隠退を清朝に請願したが、隠退許可とともに撤藩が指令されたため、雲南呉三桂(ごさんけい)らが不安を感じて挙兵し、三藩の乱が起こった。その後も清朝への忠誠を変えず反乱軍と戦ったが、76年子の之信(ししん)が反乱側に投ずるに及び、病のうちに憤死した。

[岸本美緒]

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改訂新版 世界大百科事典 「尚可喜」の意味・わかりやすい解説

尚可喜 (しょうかき)
Shàng Kě xǐ
生没年:1604-76

中国,明末・清初の武将。遼東海州(遼寧省海城県)の人。明末,広鹿島の副将であったが,1634年(崇禎7・天聡8)清に投降した。その軍団は天助兵とよばれ,36年(崇徳1)智順王に封ぜられ,のち平南王に改封された。44年(順治1)明が滅ぶと,流賊の李自成を討ち,ついで明の桂王朱由榔を攻め,56年広東に駐して権勢をふるった。三藩の乱に加わらなかったが,76年(康煕15)子の尚之信がそむくと憤死した。
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旺文社世界史事典 三訂版 「尚可喜」の解説

尚 可喜
しょうかき

1604〜76
明末〜清初期の武将
遼東の人。清朝に降り,1636年智順王に封じられ,朝鮮征討・遼西攻略ののち湖南の流賊を平定。1649年平南王に改封されて広東に移り,雲南の呉三桂,福建の耿継茂 (こうけいも) と並びたった。子の之信 (ししん) と不仲で,三藩 (さんぱん) の乱で之信が呉三桂らに従うと,病のうちに憤死した。

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世界大百科事典(旧版)内の尚可喜の言及

【三藩の乱】より

…中国,清初の反乱。三藩sān fānとは雲南に駐する平西王呉三桂,広東の平南王尚可喜,福建の靖南王耿精忠(祖父,耿仲明,父,耿継茂)をいう。彼らは清に下った明の武将とその子孫で,清の中国平定に力を尽くし,王爵を与えられ,有力な軍団を率いて南中国の諸地に駐し,強大な勢力をふるった。…

【清】より

…しかし73年には三藩の乱が勃発して,清朝は再び危機にみまわれた。三藩は平南王尚可喜,靖南王耿精忠,平西王呉三桂であって,南明征討の功によりそれぞれ広東,福建,雲南に封ぜられ,とりわけ呉三桂は親王に昇進していた。三藩は多額の歳費を与えられて直属の漢人部隊をかかえ,その地方の官僚人事を左右するなど,半ば独立王国の権勢をほしいままにしていた。…

※「尚可喜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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