山の井(読み)ヤマノイ

デジタル大辞泉 「山の井」の意味・読み・例文・類語

やま‐の‐い〔‐ゐ〕【山の井】

山中のわき水がたまってできた井戸やまい。
安積香山あさかやま影さへ見ゆる―の浅き心を我が思はなくに」〈・三八〇七〉

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精選版 日本国語大辞典 「山の井」の意味・読み・例文・類語

やま【山】 の 井(い)

  1. 山中の、湧水をたたえたところ。掘井戸に対して、それが浅いところから、和歌では「浅い」の序詞一部としても用いる。やまい。
    1. [初出の実例]「安積香山影さへ見ゆる山井(やまのゐ)の浅き心を吾が思はなくに」(出典万葉集(8C後)一六・三八〇七)

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日本歴史地名大系 「山の井」の解説

山の井
やまのい

霊山に所在して、今日既にその名を失った地名。「更級日記」に、

<資料は省略されています>

とあり、霊山の山寺すなわち霊山寺の石井は著名であった。「明月記」承元二年(一二〇八)四月一日条には「山井寺」の名がみえるが、それが寺の俗称として用いられ、また地名化したものと思われる。


山ノ井
やまのい

永和二年(一三七六)に二条良基が歌道の弟子である九州探題今川了俊に宛てた歌伝書である「九州問答」には「宰府ノ山ノ井ニテ」として「山ノ井ノ陰サヘシゲル木ズエ哉」という周阿の句を載せている。弘治四年(一五五八)九月七日の観世音寺執行西坊所領注文(松平頼寿所蔵文書/大宰府・太宰府天満宮史料一五)に「一末寺西林寺領二町六段地之事此之内山ノ井屋敷銭之事」とある。

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