デジタル大辞泉
「山子」の意味・読み・例文・類語
やま‐こ【山子】
1 《「やまご」とも》きこりなど山で働く人。
2 山中に住む妖怪。山の精気の凝ったもの、また、猿の年を経たものという。〈和名抄〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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やま‐こ【山子】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 「やまご」とも ) 山林で働く林業労働者の総称。伐木夫のきこり、運材夫の日雇など。
- [初出の実例]「路もなき山なかに分入るは山子とて、杣などのたぐひ也」(出典:菅江真澄遊覧記(1784‐1809))
- ② 投機的な、または冒険的な事業。やまごと。
- [初出の実例]「まんいち山子(ヤマコ)が当らいでこけた所が、わつきはもとのはだかだからなんともねヱのサ」(出典:咄本・諺臍の宿替(19C中))
- ③ 詐欺師。ペテン師。はったりや。
- [初出の実例]「目本口もと腰本妾、山の神や山子(ヤマコ)に化さるもあり」(出典:夜話荘治(1782)二)
- ④ 山中に住んでいるという妖怪(ようかい)。山の精気の凝ったものとも、猿の年を経たものともいう。すだま。山の神。山の精。〔十巻本和名抄(934頃)〕
- ⑤ 数村共有の入会地(いりあいち)がある場合、その地元村に対して他の入会村をいう。
さん‐し【山子】
- 〘 名詞 〙
- ① 山中に居住する人。
- [初出の実例]「痴人のまへにゆめをとかず、山子の手には舟棹をあたへがたしといへども、さらに訓をたるべし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
- ② ( 中国、周の穆王の八駿の一であったところから ) 「うま(馬)」の異名。
- [初出の実例]「猿を馬の守りとて馬屋に掛るは如何 猿をば山父と称し馬をば山子と云へば父子の義を以て守りとする歟」(出典:壒嚢鈔(1445‐46)一)
- [その他の文献]〔列子‐周穆王〕
- ③ たばねた髪をつつむもの。
- [初出の実例]「唐人の幞頭ははじめはただ紗にて是を作る。その軟なるを以て木を斫て一の山子をこしらへて前におき名づけて軍容頭と云。山子とは今いはゆる巾子なり」(出典:制度通(1724)五)
- ④ 築山。庭園。〔宋史‐礼志・一六・宴饗〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の山子の言及
【ガ(蛾)】より
…幼虫に発達している絹糸腺は,唾液腺の変化したもので,すべてのガ類がもっているが,とくに人々が利用している糸は,カイコのほかにヤママユガ科のヤママユ,サクサン,テグスサンなどが知られている。ヤママユは飼い子に対して山子と呼ばれ,長野県の有明地方では,現在でも野外飼育されているし,ヤママユと中国原産のサクサンの雑種も糸をとる目的で利用されている。中国南部では,テグスサンの幼虫から絹糸腺を取り出し,これを精製してじょうぶな糸をつくり,おもに釣糸として利用していたが,今ではナイロンにとって代わられている。…
【たたら(鑪∥踏鞴)】より
…それがしだいに高殿と記される炉をもった作業施設がつくられ,定着するようになった。たたらを中心とする山内(さんない)にはたたら師,鍛冶師,炭焼きなどが住み,経営者との間に親方子方関係を結び山子(やまこ)として働いた。たたら師は鉱山関係者のなかでもとくに信仰や伝承が多く,かつ古いものが残されている。…
※「山子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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