岩屋山(読み)いわやさん

日本歴史地名大系 「岩屋山」の解説

岩屋山
いわやさん

浄土じようど山の北東中腹にあり、標高二二〇メートル。観世音を祀り、奇岩奇勝に富む。現在、直線距離で約二・二キロ北方にある蓮厳れんご院の奥の院となっている。

肥前古跡縁起」に「岩屋の大悲観音菩薩は、覚鑁上人開基、すなはち上人の御自作なり。その上に一つの池あり、霊水常に湧出す。わづか三尺四方にしてさのみ深からず、覚鑁この水を取つて、一字一石の法華経を書写し、山上に納め給ふ。今も利生あれば、この一字一石を見付けはべりぬ」とある。

「鹿島志」には「一に竜猛山と号す。俗に云ふむかし竜猛菩薩之に示現したまふと。(中略)爾後覚鑁上人これを中興し、梵字を建て密宗を唱へ、興法寺と名づく。


岩屋山
いわややま

くもはた西北桟敷さじきたけ西南に位置し、標高六四九メートル。「名所都鳥」は「いはくらやま」と記す。

全山が巨岩奇石からなり、各所に洞窟がある。早くから修験道の行場とされ、山腹には役行者開基と伝える岩屋不動(現志明院)があり、「元大峰」の名を伝える。また山中には志明しみよう院が設定した八八ヵ所の霊場がある。洛中からの道については、「都名所車」に「三条の橋より四里あまり、室町通の上清蔵口より上加茂へかかり万寿峠・車坂に至る(万寿峠・車坂の位置は南北が逆)、又大宮通より北へすぐに万寿峠へかかる道あり、それより七まがりの坂道を越て雲が畑へ出る、難所也」とあり、車坂くるまざか万寿まんじゆ(満樹)峠を越え雲ヶ畑いちに出る道と、長坂越ながさかごえ氷室ひむろに出て万寿峠に至り前者と合流する氷室旧道とがあった。


岩屋山
いわやさん

標高四七五メートル。岩屋山中の神通じんつう寺は和銅年間(七〇八―七一五)行基による開創と伝える。弘治二年(一五五六)・天正二年(一五七四)の二度有馬氏とキリシタンの焼打ちにあったとされ、にじおか町の中世仁田尾にたのお供養塔残欠群は同寺堂塔がキリシタンに破却された際に打捨てられたという。万治三年(一六六〇)大村藩により再興され、大村家の祈願所にされた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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