島門駅(読み)しまとのえき

日本歴史地名大系 「島門駅」の解説

島門駅
しまとのえき

延喜式」兵部省諸国駅伝馬条にみえる西海道大宰府路(山陽道と大宰府を結ぶ道)に設けられた駅で、大宰府管内最多の駅馬二三疋を配備する。「三代実録」貞観一五年(八七三)五月一五日条によると、「島門渡船二艘」が老朽化し、渡河に不都合をきたしているため正税を充てて補填することが許されている。また同一八年三月一三日の太政官符(類聚三代格)によると、当駅は遠賀郡衙の東方にあり、肥後国から七日、大宰府から二日の行程に所在、駅の修理は同年まで肥後国が携わってきたが、今後は筑前国が担当することなどが認められている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「島門駅」の意味・わかりやすい解説

島門駅 (しまとのえき)

律令国家によって設けられた筑前(福岡県)の駅の一つ。所在地に定説はないが,《遠賀郡誌》が比定する遠賀郡島門村大字島津(現,遠賀町大字島津)が最も可能性が高い。島門の地名は古く柿本人麻呂の歌にも見える。駅に置く馬は《延喜式》によれば23疋で,筑前各駅の駅馬数のなかで最も多い。《遠賀郡誌》はこの理由を水駅を兼ねていたことに求めているが,人麻呂の歌の詞書に〈筑紫に下る時,海路に作る〉とあることから,この見解は正しいだろう。現在の島門は海に面していないが,若松半島が島だった時代には,島津は水道に面した津であり,現在の地名もこれによっている。駅としての機能がいつまで存続したかは不明だが,鎌倉時代中期に鎮西探題より島門駅あてに出された文書が残っており,鎌倉時代末までは存続したと考えられる。
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