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巡航ミサイル じゅんこうミサイルcruise missile

翻訳|cruise missile

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

巡航ミサイル
じゅんこうミサイル
cruise missile

空気吸入式のエンジンを動力として,空気力学的翼で空中を,全航程の大部分をおおむね定速 (巡航速度で音速以下) で飛行するミサイル。その元祖は第2次世界大戦中ドイツがロンドン攻撃に使用したV-1号 (→V兵器 ) で,無人飛行機ともいうべきものであった。大戦後アメリカで実用化された戦術ミサイル「マタドール」「レギラス」,戦略ミサイル「スナーク」などは,ジェットエンジンを装備し,電波誘導などによる巡航ミサイルであった。巡航ミサイルは一般に低速で中高度を飛び,防空に弱く精度もよくないので,まもなく弾道ミサイルに替えられた。 1970年代になって低空で燃料消費の少いターボファン・エンジンが出現,レーダ式電波高度計と操縦装置の自動化,超低空飛行と慣性誘導方式に加えて,地形照合式 TERCOMの終末誘導方式が実現し,発見されにくく精度のきわめてよい巡航ミサイルがアメリカで開発されるようになった。小型軽量で,核弾頭も装備でき,500~2500km程度の射程をもち,戦略爆撃機や大型輸送機に数十発搭載可能である。また潜水艦の魚雷発射管からも発射可能となった。新しい戦略兵器の出現として,米ソ間の第2次戦略兵器制限取決め SALT IIの一つの焦点ともなった。現在配備されているものにはALCM (空中発射巡航ミサイル) とSLCM (水中・水上発射巡航ミサイル) がある。 GLCM (地上発射巡航ミサイル) は 1987年 12月の中距離核戦略 INF全廃条約によってヨーロッパから撤去された。 91年の湾岸戦争では 297発の巡航ミサイルが発射され,282発が命中した。

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デジタル大辞泉の解説

じゅんこう‐ミサイル〔ジユンカウ‐〕【巡航ミサイル】

ジェットエンジンを推進力とする誘導ミサイル。低空を飛ぶためレーダーで捕らえにくい。

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百科事典マイペディアの解説

巡航ミサイル【じゅんこうミサイル】

目標に至るまで水面,地面に沿って一定高度を一定速度で飛行するミサイル。大気圏外の放物弾道を飛行する弾道ミサイルに対してこう呼ぶ。〈cruse missile〉という英名から,CMとも略称。

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大辞林 第三版の解説

じゅんこうミサイル【巡航ミサイル】

コンピューター制御によるジェット推進の有翼ミサイル。命中精度が高く、また超低空飛行や迂回航行ができるためレーダーによる捕捉がきわめて困難。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

巡航ミサイル
じゅんこうみさいる
Cruise Missile

略称CM。飛行の大部分を動力飛行する有翼ミサイル。無人の小型ジェット機で、核または通常弾頭を搭載し、艦艇や地上目標を攻撃するのに用いられる。空中発射巡航ミサイルAir Launched Cruise Missile(ALCM)、陸上発射巡航ミサイルGround Launched Cruise Missile(GLCM)、水中(水上)発射巡航ミサイルSea Launched Cruise Missile(SLCM)などの種類がある。また射程2500キロメートル程度の戦略用と、射程の短い戦術用とがある。核弾頭や通常弾頭のほかに、生物・化学兵器弾頭をつけるものも計画されている。いずれも外見はほとんど同じ形をしており、弾頭の種類の区別がつけにくい。巡航ミサイルの祖先は第二次世界大戦中のドイツのV1号である。第二次世界大戦後、ソ連、アメリカはこれをベースに独自のミサイルを開発してきた。ソ連の開発した巡航ミサイルは広く世界に拡散し、世界の脅威となっており、有名なものとしてシルクワームがある。アメリカの代表的な巡航ミサイルは海軍のトマホーク(SLCN)とB‐52爆撃機から空中発射する空軍のCALCM(Conventional Air Launched Cruise Missile)の2種類がある。
 近年の巡航ミサイルは、速力は音速以下であるが、超低空飛行ができるので、弾道ミサイルよりもレーダーに捕捉(ほそく)されにくい。またコンピュータに目標までの地図を記憶させ、レーダーで見た地形と照合しながら進路を修正するTERCOM(Terrain Contour Matching system)(ターカム)という誘導方式の採用によって、命中精度がきわめてよくなった。ただし、地形を利用する場合、ほとんど平坦な海面やつねに起伏が変わる砂漠には使用できないので、ほかの方式も利用される。誘導方式は1990年代からGPS(Grobal Positioning System、全地球測位システム)方式が採用されるようになり、人工衛星からの情報できわめて命中精度が高くなった。湾岸戦争や1998年8月スーダンとアフガニスタンに対するアメリカの対テロ報復攻撃、さらに、同年12月の米英軍によるイラク攻撃(「砂漠のキツネ作戦」)、99年3月から6月のNATO(ナトー)(北大西洋条約機構)軍によるユーゴスラビア(新ユーゴスラビア)空爆(コソボ紛争)ではトマホークが多数使用された。ユーゴ空爆ではCALCMも使用された。[服部 学]
『小都元著『世界のミサイル』(1997・新紀元社)』

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世界大百科事典内の巡航ミサイルの言及

【ミサイル】より

…さらにこれらミサイル技術をもとに,人工衛星,惑星ロケット等の打上げが進められている。 第2次大戦後の冷戦下における米ソの戦略は,ミサイル技術,核弾頭技術等を背景に時代とともに変化してきているが,ICBMと潜水艦発射弾道ミサイルsubmarine launched ballistic missile(略号SLBM)および核爆弾または空中発射巡航ミサイルair‐launched cruise missile(略号ALCM)搭載の戦略爆撃機を戦略部隊の3本柱として組み立てられてきたことは変りない。また,戦略核ミサイルより射程の短い中距離核ミサイルまたは戦域核ミサイルと呼ばれる一群のミサイルも配備されてきた。…

※「巡航ミサイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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