差合う(読み)サシアウ

デジタル大辞泉 「差合う」の意味・読み・例文・類語

さし‐あ・う〔‐あふ〕【差(し)合う】

[動ワ五(ハ四)]
物事がかち合ってさしつかえる。「その日は先約と―・っていて行けません」
出あう。出くわす。
烏帽子えぼし直衣なほしなる人の、ふと―・ひたるに」〈狭衣・三〉
1か所に重なり合う。付け加わる。
方々大臣おとどたち、この大将の御勢ひさへ―・ひ」〈真木柱
向かい合う。また、近接する。
胡国と日本の東のおく地とは―・ひてぞあんなる」〈宇治拾遺・一五〉
酒を酌み合う。
「世に似ずうまき酒にてありければ、三人―・ひて」〈今昔・一九・二一〉
言い合う。
「互ひに犯科得失を―・ふが如し」〈太平記・二七〉

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精選版 日本国語大辞典 「差合う」の意味・読み・例文・類語

さし‐あ・う‥あふ【差合・差会・差遇】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 出会う。行きあう。でくわす。
      1. [初出の実例]「あまた火ともさせて、小路ぎりに辻にさしあひぬ」(出典:落窪物語(10C後)一)
    2. 映り合う。光などを受けて、それに応じて輝く。
      1. [初出の実例]「山際よりさし出づる日の、花やかなるにさしあひ、目も輝く心ちする御さまの」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    3. さしさわりがある。不都合がある。さしつかえる。
      1. [初出の実例]「大宮の御かたざまに、もてはなるまじきなど、かたがたに、さしあひたれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
    4. 「さしあい(差合」の状況である。
      1. [初出の実例]「さしあふをしらぬ顔であげ屋に来り」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)五)
    5. 破損する。こわれる。
      1. [初出の実例]「所打折之桁の端も指合ては子木を作入云々」(出典:醍醐寺新要録(1620))
    6. 隣り合う。境を接する。近接する。また、向きあう。対峙する。
      1. [初出の実例]「陸奥の国の奥に有夷の地に差合たるにや有らむ」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
    7. 重なり合う。集中する。
      1. [初出の実例]「かたがたのおとどたち、この大将の御いきほひさへさしあひ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙
    1. (酒などを)互いにつぎあう。さしつさされつする。
      1. [初出の実例]「世に不似ず美き酒にて有ければ、三人指合て」(出典:今昔物語集(1120頃か)一九)
    2. 互いに言いあう。また、非難しあう。
      1. [初出の実例]「喩へば山賊と海賊と寄合て、互に犯科の得失を指合が如し」(出典:太平記(14C後)二七)
    3. 相撲で、互いに手を、相手の脇腹と腕の間に入れる。
      1. [初出の実例]「四つとは互に腕を差合(サシア)って、敵の褌(まはし)を引いて組んだ形を言ひ」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉四十八手裏表)

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