朝日日本歴史人物事典 「市川団蔵(4代)」の解説
市川団蔵(4代)
生年:延享2(1745)
江戸中期の歌舞伎役者。俳名の市紅,屋号の三河屋は初代以来受け継いでいる。京都出身。大坂の中芝居で修業したのち,宝暦13(1763)年には初代中村富十郎の門人となったが,明和5(1768)年江戸へ下り3代目団蔵に入門した。安永1(1772)年に師が没したのちに芸養子となり,翌2年に団蔵を襲名。以後,江戸で活躍したが,天明3(1783)年以降は,もっぱら上方や地方での興行に出勤,大坂での興行中に64歳で没した。宙返りや,何役もの早替わりを得意とする器用な役者として重宝がられた。代表的なものに「仮名手本忠臣蔵」の7役早替わりがある。その一代記『市河の流れ』(1809)が出版されている。<参考文献>伊原敏郎『近世日本演劇史』
(池山晃)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報